横浜FCでコーチを務める中村俊輔(45)が27日、茨城・龍ケ崎市の流通経済大グランドで、「アディダスフットボールレジェンドクリニック」に出席し、高校生たちにFKの極意を伝授した。

6チームの高校生約120人がレジェンドの話に耳を傾けた。昨年現役を引退し、指導者の道に進んでいる中村は、「今スタメンでも先をどう考えてプレーしているのかが大事かなと思います。それを想像できて個人で高められる選手はレベルを上げて、大学でもプロでもヨーロッパでも生きていける。自分で努力していけるかどうかが今後につながる」と伝えた。

中学時代に木村和司のFKに衝撃を受け、見よう見まねで習得した。この日は、6チームから2人ずつキッカーを募り、ゴール前でFKを順々に蹴った。中村は、ポイントポイントでアドバイスを送った。当初、自身は蹴る予定はなかったが、高校生たちから「軽くでいいので」と求められて実践披露した。ウオーミングアップなしながら、ニアとファーに1本ずつ決めて、さび付かない左足の精度の高さを見せつけた。「軸足を沈ませて、左足は面を作る。ゴルフのアイアンのように面を傾ければ上にいく。親指をスパイクの中で外に向けるイメージ。それができあがっていれば、ズレがなくなって、スランプがなくなる」と自身の型について明かしていた。

中学1年の時は、思い切り蹴ってもペナルティーエリアからゴールにボールがやっと届くほどの非力だったという。それでも練習を重ね、プロ1年目からいきなりキッカーを任されるほどまで成長した。プロの世界でキッカーとしての重圧をはねのけたのは練習だった。「午後練はしちゃいけないんだけど、やっていた。ホペイロさんとかに鍵開けてもらって、1人で蹴っていた」。

流れの中でのプレーがメインとなるサッカーというスポーツにおいて、セットプレーのキッカーは特異な存在だ。ボールをセットし、蹴る。キッカーにしか分からない世界観がある。

「キッカーでいいのは、点も決められるし、アシストも決められるところ。キッカーで居続けるのは幸せなこと。同じ実力の選手だったら、キッカーの方が使われる。自信を持ってやってほしい。足の長さ、体の構造が違うから自分にしかできないことがある。それを自分で見つけてやるのがいい。蹴りまくって練習しまくるとなんかわかる。努力した分、やった分だけ返ってくるから」

この1日で劇的にFKがうまくなることはないかもしれない。しかし、世界的なFKの名手と触れ合った時間は、高校生にとって今後のサッカー人生の大きな財産になるに違いない。【佐藤成】