昨季Jリーグ2位のサンフレッチェ広島が、同2連覇と天皇杯で2冠のヴィッセル神戸を2-0で破り、9年ぶり5度目の優勝を飾った。
前半にFWトルガイ・アルスラン(34)が先制点を奪うと、後半もセットプレーから加点。昨季J1優秀選手のMF田中聡(22=前湘南)やリーグ19得点のFWジャーメイン良(29=前磐田)ら新戦力と既存陣容が融合し、今大会を5戦5勝の勝率100%で締めた。26年からのシーズン移行(秋春制)に伴い現行方式では最後の開催となった、国内シーズン到来を告げる舞台で強さを示した。
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広島の充実ぶりが25年の幕開けを彩った。湘南ベルマーレから加入の田中聡と、J2ジュビロ磐田から獲得したジャーメインがいきなり先発。前半から優位に試合を進めた。最前線で起点となり続けた新エースの後者は「結果としてチームが勝っているし、今日は良かった」と自身のパフォーマンスにも合格点を与えた。前線からのプレスも有効で、チーム戦術浸透が進んでいることを示した。
早くも新戦力がフィットした背景には、ピッチ「内」の好循環があるようだ。1月のトルコ合宿では、序盤3日目にウズベキスタンのクラブと練習試合を行った。計5試合と実戦機会を多く設け、融合を加速。成果は前半12分の先制点に表れた。昨季、全38試合に出場したDF中野のピンポイントクロスにアルスランが頭を合わせた。後半途中から出場した、日本代表経験があるMF菅(前札幌)もCKから、DF荒木の追加点をアシストしてみせた。
ボランチで先発した田中聡は、ピッチ「外」も順応の要因に挙げた。この日は「全然ダメ」と自己採点こそ厳しかったが、セカンドボールの回収や落ち着いたビルドアップでチームの潤滑油に。「みんな温かく迎え入れてくれた。ファミリー感がある」。積極的にコミュニケーションを取り、キャンプ中に持ち味をアピールし、先発にとけ込んだ。明大出身のルーキーFW中村もスピードを生かし、関東1部2年連続得点王のプレーで国立を盛り上げた。
就任4年目を迎えるスキッベ監督は、リーグ戦で3位、3位、2位と善戦しながら、頂点にはたどり着けていない。一方で成熟度は増すばかりで、頼もしい新戦力も合流。今季こそ、の思いは強まる。幸先いいスタートを切ったが「シーズン全体を見るより、目の前の1試合1試合を見ることが重要」と引き締めた。昨季完成した新スタジアムに歓喜をもたらすべく、今季最初の戴冠を自信に、着実に進んでいく。【佐藤成】



