国際サッカー連盟(FIFA)は27日、W杯の18、22年両大会の招致不正疑惑の詳細な調査報告書を、公式サイトで突如、全文公表した。10年の理事会で22年大会に立候補し敗れた日本の記述も。日本は「招致ガイドライン」に定められた上限100ドル(約1万1000円)を上回る約10万円超の贈答品をブラッター会長(当時)らに贈っていたことが明らかになった。

 日本が贈ったとされる品物は「屋久杉ボール(10万5000円)」「ペンダント(10万359円)」「デジタルカメラ(10万8290円~11万40円)」「バッグ(18万9000円)」など。これは調査を行ったFIFA倫理委員会の要請に応じ日本協会が提出した領収書などから判明。同会長のほか当時理事だったプラティニ氏ら10人以上と夫人らに贈られたとされる。ただ、ほとんどの元理事らが受け取りの事実を否定したとも記されている。

 22年大会の開催国に選ばれたカタールについては120ページ以上の報告があったが、日本は3ページ程度。カタールの王族や政財界も巻き込んだ接待攻勢が詳細に書かれている。FIFA理事の親しい知人と天然ガス輸出の取引に応じるなど倫理規定や招致規則に抵触した可能性があるとしている。争った日本の「屋久杉ボール」が吹っ飛ぶようなスケールの話になっている。

 報告書は14年に提出され、FIFAは全面公表せず18年ロシア、22年カタール両大会の開催は妥当と結論付けていた。ただ、26日までにドイツ紙が独自に全文入手したことを受けて方向転換し公開。「透明性のためにも発表できた事実を歓迎する」と声明も出した。

 ◆W杯招致疑惑報告書の骨子

 一、日本は倫理規定や招致ルール違反の可能性がある品物をFIFA幹部らに贈った。約10万円相当のボールの置物など

 一、日本が2018年の立候補国・地域と票のやりとりを模索した可能性を指摘。日本協会側は適切な投票を主張

 一、ロシアは招致委が使用していたコンピューターが貸出元に返却後に壊されていたため十分な証拠がそろわなかった

 一、カタールの王族や政財界も巻き込んだ接待攻勢を列挙。倫理規定や招致の規則違反があった可能性を指摘