2部サラゴサの日本代表MF香川真司(30)が、夢のスペインデビューをついに果たした。無得点だったものの、先発して80分間プレー。あこがれの舞台を踏みしめた。

今月9日に加入したばかりだが、4-2-3-1陣形のトップ下で開幕テネリフェ戦に先発出場。本拠ラ・ロマレダの大歓声を浴びて登場すると、前半3分にいきなり右足でFWドゥワメナへスルーパスを通し、惜しい左足シュートをお膳立て。相手のプレスが激しい中でもボールを受けに動き、守備にも労を惜しまず献身的に走った。

チームは前半41分にFWスアレスが先制。1-0の後半27分には、丸刈りの背番号23が沸かせた。ゴール正面でボールを受けると、右に持ち出してすぐ右足でループシュート。GK正面で押さえられたが、2点目を求めて燃えるスタジアムを盛り上げた。

ビクトル・フェルナンデス監督は前日会見で長くない時間の起用を示唆していたが、ふたを開けてみればスタメン。加入後、プレシーズンマッチに1度も出ていない状況ながら後半35分まで80分間プレーした。2部とはいえ、子供のころからのあこがれ、インスピレーションを受けてきたというスペインの芝を満喫。MFブランコと交代で下がる際には、観客席から最大級の拍手が降り注いだ。その後、終了間際の43分にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)によるPKでFWロスが加点して2-0で白星発進となった。

ドルトムント、マンチェスターUで1部リーグ優勝を経験してきた香川が、初めて選択した2部リーグ。他国の複数1部クラブから打診があった中でも、迷いなく理想の舞台スペインを選んだ。13日の入団会見でも「最高の挑戦」と言い切り「監督の目指すサッカーを実際に聞いて、素晴らしいビジョンがあると感じた」と話していたが、ぶっつけ本番で、中盤のど真ん中で、その指揮者になった。

年間42試合とゲームが多い2部だが、その初戦からピッチに立った。「タフだからこそ、選んだ。今の自分に必要なのは、こういう厳しい戦いの中で試合に出続けて結果を残し続けること」とも会見で語っていた通りのデビューになった。まだまだ連係には向上の余地を残しつつ、次節25日、アウェーのボンフェラディーナ戦へ向かう。地元紙では質の高さやリズムの良さを評価され、上々の第1歩を刻んだ香川。スペインで最初の目標「1部昇格」へ次はゴールを期待される。