欧州選手権の決勝は11日(日本時間12日)にロンドン・ウェンブリー競技場で行われ、イングランドとイタリアが対戦するが、ファンの熱狂により新型コロナウイルス感染のリスクが高まることが懸念されている。欧米メディアが伝えている。

感染力の高い変異株の影響もあり、両国とも新規感染者が増加傾向。専門家によると、この1カ月で英国の感染は約4倍に増え、女性に比べて男性の比率が高いことから、欧州選手権が影響している可能性があるという。同時にサッカー好きが多いとされる若い男性には、まだワクチン接種を受けていない人も多いことも、懸念を強めている。

英国はコロナ対策による厳しい制限が解除されつつあり、ウェンブリー競技場での準決勝も6万人以上の入場が認められた。これまでの忍耐からの反動、イングランドが主要大会では1966年W杯以来となる決勝に進出した喜び、準決勝、決勝とも地元で開催されることも重なり、専門家は「決勝戦の熱狂を抑えることは困難」としている。英国ビール&パブ協会は、全国のファンが1試合だけで680万パイントのビールを消費すると試算する。

準決勝イングランド-デンマーク戦では、スタジアムに入ったファンは試合中も帰路でも応援歌を歌い続け、花火や発炎筒で祝った者もいた。一方で、テレビ中継での視聴者は約2760万人に達したとされ、これは単一チャンネルでのサッカー視聴者としては最高の数字。視聴者の中には試合後に外出し、地下鉄の駅の屋根に上ったり、広場に集まって騒いだ者も多かったそうだ。世界保健機関(WHO)は会場だけでなく、試合のために人が集まるパブでも注意が必要と指摘しているという。

欧州選手権ではこれまで、ロシアで試合観戦したフィンランドのファンら約300人が帰国後に陽性反応を示したことや、スコットランドでは同大会に関連して約2000人が感染したことが報じられている。