“最強市民ランナー”川内優輝(31=埼玉県庁)が、静岡で躍動した。第1回大会優勝者の伊藤太賀(32=スズキ浜松AC)との大会史に残るデッドヒートを制し、2時間13分41秒で初優勝。第6回大会を初出場で制した。35キロ過ぎからは一進一退の攻防だったが、38キロ過ぎから徐々に伊藤を引き離した。小学生の部では、沼畑晃成(金指小6年)と小川志生(しき=和地小5年)が、2連覇を果たした。
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ラスト1キロ。川内は沿道の観衆から2位伊藤との差を伝えられると、勝利を確信した。「(差が)100メートルくらいあるぞと言われ、気を抜かなければいけると思いました」。レース前には、大会記録(2時間11分40秒)を更新した上での優勝を目指すと宣言。30キロ以降の「我慢比べ」で記録更新を諦め、勝つことだけに集中した。
仕掛けのタイミングは早かった。「13キロから飛び出して独走するつもりでした」。だが、川内と同学年の伊藤を離せない。2人のマッチレースが続き、海沿いを走る30キロ過ぎからは、互いにけん制し合う展開となった。「引っ張ったり、引っ張られたり。向かい風も強めだったので、先を行ったら負けるなと感じました」。
35キロで折り返すと、スパートをかけた。追い風に乗って相手を突き放そうとしたが、伊藤もスパートをかけて抜き返す。意地の張り合いとなり、川内は「ちょっとでも気持ちが切れたら、落ちていってしまう」と歯を食いしばった。38キロで力尽き始めた伊藤を置き去りにし、豊富なスタミナで逃げ切った。
有言実行の優勝を果たし、「何が何でも出たい」と目指す世界陸上(9月、カタール)代表選考レースのびわ湖毎日マラソン(3月10日)に弾みをつけた。「今日のようなレースは、世界では普通なこと。これまでになかった内容を経験できたことで、静岡マラソンは収穫のあるレースになりました」。充実した表情だった。【河合萌彦】

