2大会ぶりの頂点を狙うパナソニック(白組1位)は、トヨタ自動車(紅組2位)との接戦を17-11で制した。負傷のバーンズに代わって先発したSO山沢拓也(23)が全得点に絡む活躍だった。昨季王者サントリー(紅組1位)はヤマハ発動機(白組2位)に49-7で快勝。13日の決勝(秩父宮)は2大会連続で同じ顔ぶれになった。

 緊張からキックオフでボールをフィールド外に蹴り込んだ山沢は名誉挽回に燃えた。0-3の前半13分、ゴールまで10メートル付近で3人を飛ばし、左端のWTB福岡にロングパス。逆転トライをアシストすると、同36分にも左サイドでCTBイオアネにパスを送り、トライをお膳立て。山沢は2本のゴールと後半9分のペナルティーゴールも決め、全17得点に絡んだ。

 司令塔バーンズの負傷で先発が巡ってきたが、山沢は「1週間前から緊張していて、キックオフでもやってしまった」と平謝り。仲間に「気にするな」と声をかけられ、気持ちが落ち着いた。勝ち越しの場面も「福岡さんからの声と手ぶりでスペースが空いているのが分かったので、確実に狙った」と冷静に対応した。

 試合のパフォーマンスは乱高下したが、2季目で成長の跡を見せているのも事実。試合後、ディーンズ監督に助言を求める機会が増加。この日も「後半の苦しい展開でどうするべきだったか」と尋ね「攻撃のテンポを上げよう」とアドバイスされた。指揮官は「10番を背負う者として経験が糧にできている」とその意欲に目を細めた。

 今年も決勝の相手はサントリー。山沢は「今日以上に緊張するんだろうし、楽しみではない」と苦笑いしつつも、瞳は真剣だった。【戸田月菜】