久光製薬が2季連続7回目の優勝を飾った。東レにフルセットで敗れて1勝1敗で並ばれたが立て直し、25点1セットのゴールデンセットを25-18で制して女王の座を死守した。レギュラーシーズン西地区を18勝2敗の1位。東西両地区8チーム総当たりのプレーオフ1次リーグでも7連勝で1位となり、8季連続の決勝に進んでいた。この日計23得点のアキンラデウォ(31=米国)がMVPに選ばれた。

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野本のレフトからの強打が決まって連覇を達成すると、選手たちは叫び声を上げて肩を抱き合った。岩坂主将、新鍋の両目は涙で濡れていた。第2戦を落として臨んだゴールデンセット(GS)。久光製薬が生き返った。

石井が振り返る。「本当に気持ちなんです。『チームとして戦い、やりきるだけ』と、みんなで目を合わせて声を掛け合いました」。フルセットの敗戦から15分間のインターバルで本来の姿を取り戻した。戦術に変化はない。サーブで重圧をかけ、ブロックとレシーブから逆襲に転じる。第1戦を3-0で制した時の戦いが、“6セット目”で甦った。

1セット平均1・8本だったブロックがGSだけで3本。岩坂が相手エース黒後を2本止め、アキンラデウォも壁になった。新鍋はサービスエースを決めた。「選手たちが気持ちを切り替えてくれた。内容より勝ったことが大きい」と酒井監督。日本代表の岩坂、石井、新鍋に米国代表のアキンラデウォ。十分な戦力を誇るが、岩坂は言った。「個の力ではなく、チームとしてつくり上げた結果です」。若い東レの勢いにのみ込まれそうになりながら、総力戦で踏みとどまった。久光製薬がまた1段、ステップを上がった。【小堀泰男】