陸上男子400メートルリレーで日本が歴史的な銀メダルを獲得した。山県亮太(24)-飯塚翔太(25)-桐生祥秀(20)-ケンブリッジ飛鳥(23)で国別で世界歴代3位となるアジア新記録の37秒60を出し、3連覇したジャマイカに次ぐ2位。08年北京大会の銅を上回り、1928年アムステルダム大会女子800メートルで銀メダルの人見絹枝に並ぶトラック種目の最高成績を収めた。個人の走力は上がり、バトンパスは進化。4年後の東京五輪では金メダルを狙う。

 わずか7センチの違いが銀メダルを呼んだ。決勝の朝、ミーティングが開かれ、走者がスタートを切る目安の距離を、予選よりも延ばすことを決めた。飯塚と桐生は4分の1足長(約7センチ)、ケンブリッジは半足長(約14センチ)。日本陸連の土江短距離副部長は「予選でバトンが詰まっていた。ただ4分の1足長は初めての単位だった」と明かした。

 前回のロンドン大会の決勝ではぎりぎりでバトンを受け渡すため、予選から半足長ずつ延ばした。だが、受ける側の走者が「距離が遠くてバトンが届かないのでは」とスタートをちゅうちょし、結果的にバトンが詰まった。その反省を生かして選手と話し合い、ほぼ完璧なバトンワークにつなげた。

 お家芸のアンダーハンドパスも改良を加えた。通常は体の真下で受け渡しを行うが、14年11月の苅部短距離部長就任後、より腕を伸ばす方法にトライ。バトン1回で約60センチ、1レース3回で約180センチが稼げるという。タイムに換算すれば約0秒18の短縮だ。さらにバトンを受け渡すテークオーバー(20メートル)を含む40メートルの通過タイムを3秒75以内に設定して練習。土江副部長は「練習では3秒6台を連発していた」という。

 前日18日の予選では加速した状態で入る100メートルのタイムも上々だった。曲走路は1走山県が10秒21、3走桐生が9秒27。直線は2走飯塚が9秒10、4走ケンブリッジが9秒06を記録。土江副部長は「今回は走り勝った。その走りを引き出すのが加速しやすいアンダーハンドパス。次は金メダルしかないでしょう」と胸を張った。【益田一弘】