ガールズケイリン126期生の注目選手を紹介する「Girl 's Collection(ガールズコレクション)2024」の第1弾は高木萌那(20=福岡)を特集する。
自転車競技は未経験ながら、父・和仁の背中に導かれるように競輪選手の道を歩み出すと、在所時にはゴールデンキャップを獲得するなど才能が一気に開花。ガールズ王国の久留米にまた1人、逸材が現れた。【取材・構成=中嶋聡史】
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父・和仁に祖父の工藤元司郎も競輪選手という家庭に生まれたが、最初からガールズケイリンの選手を目指していたわけではなかった。
高木 幼少期から野球をやっていたので、そのまま野球がしたいという気持ちがありました。当時は女子プロ野球という組織もあったので。父には、地元の高校で自転車をやってほしいって言われ続けてたんですけど(苦笑)。
女子野球の名門でもある神戸弘陵に入学すると全国制覇も達成。順風満帆の野球人生だったが、思わぬ転機が訪れる。
高木 高校2年の終わりに本格的に進路を決めないといけなくなった時期に、女子プロ野球が廃止されてしまったんです…。プロスポーツ選手として生計を立てたかったので、どうしようかなと思った時に身近に競輪があった。しっかり自分で稼げてスポーツで食べていける。自転車競技の経験がなくても受けられる適性試験もあったので、競輪に向くようになりましたね。厳しい業界でもあり、生半可な気持ちじゃ駄目だなと。やるなら覚悟を決めて、一発で受からなかったら大学進学も考えてました。
不退転の決意で競輪選手の道を選択したが、肝心の自転車は全くの未経験。
高木 神戸は坂がすごくて危ないから、寮生活で自転車通学も禁止だったんです。だから、自転車競技部のワットバイク(室内練習用の固定自転車)を借りて練習しました。実際に自転車に乗ったのは試験前の2週間ぐらいですかね。
たぐいまれなる才能を発揮して試験に見事に一発合格。だが、待っていたのは厳しい現実だった。
高木 辛かったですね…。適性組って、事前養成で技能組より1カ月前に乗り込む時期があるんです。そこで、周りのみんな乗れていてタイムも出ているのに、なんで自分はできないんだろうって。小さい頃から久留米競輪場に足を運んでいて“シャー”って行くのが当たり前だと思っていたし、理想と現実の差がありましたね。
ギャップに苦しみながらも努力を重ねると、3回目の記録会でゴールデンキャップを獲得。在所成績3位で卒業すると、デビュー戦の5月富山ルーキーシリーズでは見事に優勝をつかみ取った。
高木 富山のルーキーシリーズは、たまたま自分の形にはまった。うれしい部分もあるが、展開で得た勝利。むしろ反省が多かったですね。
続く函館でも好結果が期待されたが、2日目にまさかの落車のアクシデントに見舞われた。
高木 初めての落車だったけど、その後も恐怖心は特になかったので大丈夫でした。ただ、レースは何十回も見返しました。私は駄目なパターンというのが結構、浮き彫りになるというか分かりやすい。課題が多く見つけられて、ある意味いい経験だったかな。
小林優香、児玉碧衣と2人の賞金女王も輩出したガールズ王国の久留米が、高木を成長させている。
高木 練習環境は最高。周りのみなさんからは「自分で仕掛けられていないし、勝ち負け関係なく打鐘から行けるぐらいにならないと」と言われます。私自身も分かっているんだけど、いざレースとなると自信がなくなっちゃって…。そういうところを突き詰めて練習して、これだけやっていれば大丈夫という自信を付けてやっていきたい。最近は、林真奈美さんと一緒に練習することが多いんですが、真奈美さんは戦い方とかも知ってて、何も知らずにレースに入るよりは知識をある程度持ってやったほうがいいと、スキルだったり気持ち的なものも全部、教えてもらっていますね。
7月の本格デビュー以降は、明確なビジョンを定めている。
高木 先輩方のいいところを吸収して学んでいく期間にしたい。そして、来年のG1に出ることを目標にしています。実際に、そこで走らないと分からない雰囲気とかもあるじゃないですか。G1やガールズGPを目標に設定して、高みを目指しながらやっていきたいですね。
最短で来年6月のパールカップからG1出場も可能だ。11月には地元の福岡・小倉で競輪祭女子王座戦も開催される。久留米ガールズの新たな顔として、G1の舞台で活躍する日が待ち遠しい。
【とっておきメモ】
プライベートは、もっぱらインドア派だ。「休みの日は基本的に生活リズムを変えず、ただゆっくり過ごします。猫と過ごすのが幸せなんです」と目を細める。「3匹ともオスなんですけど、めっちゃデレデレです! 外にも出なくていいし、開催が終わったらみんなでご飯に行ったりするみたいですけど、私はすぐに帰りたい」とメロメロのようだ。
プロスポーツ選手として第1歩を踏み出した高木。気になる賞金の使い道だが「私、ためるのが趣味になっているんです。賞金袋をもらって、そのまま入金して通帳記帳して『増えた!』って(笑い)。NISAとかiDeCoとかで運用していこうかな」と堅実な一面をのぞかせた。
◆高木萌那(たかき・もな)2004年(平16)4月6日生まれ、福岡県久留米市出身。神戸弘陵高卒。競輪選手養成所在所中はゴールデンキャップを獲得。126期生の在所3位の成績を引っ提げて今年5月富山ルーキーシリーズでデビュー(予選3、1着、決勝1着)。162センチ、74キロ。血液型B。





















