日刊スポーツ評論家の秋田豊氏(47)による「熱血秋田塾・キャンプ編」(随時)第3弾は沖縄キャンプ中の川崎フロンターレ。精神的支柱のMF中村憲剛(37)を直撃し、Jリーグ連覇、日本勢としてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)連続優勝の可能性を探った。さらに中村のメンタル面の充実、プレーぶりを踏まえ、6月開幕のワールドカップ(W杯)ロシア大会へのサプライズ選出を提案した。

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 憲剛は、年齢を重ねてさらに成長していた。私が引退した年齢でもある37歳。選手として、全盛期を過ぎたと言われても仕方のない年齢だ。しかし、積み重ねた年月、失敗の数々が、メンタル面を充実させた。昨季、リーグ戦を制した後のコメントが印象的だった。

 「今までフロンターレが優勝できなかったのは、僕がいたからです」。現役選手が、そう話せるのは相当な勇気が要ることだ。そう思っていても、口に出すことは難しく、私は今までそんな選手をみたことがなく、沖縄で直撃してみた。

 憲剛はルヴァン杯の決勝で調子が悪く、C大阪にカップを譲った。その責任を痛感してこその発言。他にも、今まで勝負どころで調子を落とすことが何度かあった。チームの精神的支柱でありながら大一番で精神面の弱さを露呈する-。そんな姿から一変、昨季は最後まで集中力を切らさなかった。

 その憲剛が今季も健在でFW大久保嘉人が復帰し、MF斎藤学が加入するなど選手層が厚くなった。第一線級のセンターバックも4人そろえた。ACLとリーグ戦のターンオーバー体制が整った。唯一、憲剛の代わりはいないが、リーグ戦連覇、ACL制覇へ、その存在は欠かせない。

 5月に発表されるはずのW杯メンバー。私は憲剛を推薦したい。中盤にボランチ3人をそろえて、強豪を迎え撃とうとするハリル戦術は、相手国にも検証されている。そこで、パス1本で流れを変えられる憲剛の存在は光るはず。残り10分で、ジョーカーとして十分使えるはずだ。若い選手が多い、今の代表でも精神的支柱になれる。ハリルホジッチ監督、今大会のサプライズは、憲剛でいかが?(日刊スポーツ評論家)