第100回高校サッカー選手権は大量得点差の試合が目立つ。

3回戦終了時点で5点差以上の試合は7試合。首都圏開催となった第55回の1976年度以降では、過去8度あった1大会最多5試合を既に上回る。しかも今大会の7試合はすべて相手を無得点に抑えた一方的なもの。出場校の広がる格差を象徴するような記録か。

4大会ぶりの優勝を目指す前橋育英(群馬)は2回戦で三重に6-0で快勝。シュート1本に終わった三重の徳地監督は「(前橋育英は)一回りどころではないくらい上手でした。ここまで違うかというぐらい圧倒的な差を感じた」と話した。

3回戦では静岡学園が宮崎日大に同校の選手権最多となる8-0で大勝。宮崎日大の朝倉監督は「(静岡学園は)非常に強い相手と分かっていたが、想像の2倍、3倍を超えるうまさで衝撃を受けた。全国の壁を感じた」。実力差がそのままスコアの差となって表れた。

さらに優勝候補の青森山田の力は突出し、高校年代最高峰の高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区を制覇。近年の強豪校のトレンドにもなっている「中高一貫」で強化を進め、Jリーグのユースチームとしのぎを削りながらレベルアップを図る。県予選は25連覇中で、今予選は準決勝で22-0と圧倒。近年はその記録的大勝にも驚きはなくなった。本大会でも2回戦で大社(島根)に6-0と大勝発進。総体と合わせた高校3冠を目指す。

同リーグ西地区で戦う大津(熊本)も他校のマークが厳しくなる中でも力の違いを示し、1回戦で中部大第一(愛知)に5-0で圧勝。2回戦ではライバルの東福岡に4-0で勝つなど、安定した試合運びで順当にベスト8進出を決めた。

このプレミア勢2チームに象徴されるように、トップレベルの「プレミア化」はさらに進んでいる印象。2010年代から選手権での大差得点差試合は増えたが、今大会は特に相手に付け入る隙を与えない一方的な試合も目立つ。

記念の大会は残り7試合。さらなる大量得点差試合は見られるのか? それとも、ここからは拮抗(きっこう)した試合が大半を占めるのか? 国立への切符を懸けた準々決勝の4試合は4日に行われる。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)


<5点差以上の試合が4試合以上あった大会>カッコ内は相手が無得点

1983年度 4試合(4)

1984年度 5試合(5)

1987年度 5試合(5)

1991年度 4試合(3)

1992年度 5試合(3)

1997年度 4試合(4)

1999年度 4試合(3)

2001年度 4試合(4)

2003年度 4試合(2)

2005年度 4試合(3)

2008年度 5試合(2)

2011年度 5試合(3)

2015年度 4試合(3)

2016年度 5試合(5)

2017年度 5試合(4)

2018年度 5試合(4)

2019年度 4試合(4)

2021年度 7試合(7)

※首都圏開催1976年度以降。今大会は3回戦終了時


<今大会の5点差以上の試合>カッコ内はシュート数

▼1回戦

関東第一6-0中津東(24-3)

大津5-0中部大第一(25-3)

静岡学園5-0徳島商(23-1)

▼2回戦

前橋育英6-0三重(18-1)

青森山田6-0大社(20-3)

阪南大高8-0奈良育英(19-4)

▼3回戦

静岡学園8-0宮崎日大(29-2)


<4日の準々決勝>

大津-前橋育英

東山-青森山田

静岡学園-関東第一

桐光学園-高川学園