東京五輪代表GK大迫敬介(22)のスタメン定着とともにチームは上昇気流に乗った。開幕から5戦未勝利だったサンフレッチェ広島が3年ぶりの同一シーズン3連勝で8位に浮上した。
39歳のベテランGK林卓人がゴールを守った開幕5試合は3分け2敗。セットプレーからの失点が目立つなどJ2降格圏の17位に低迷した。だが、大迫が今季初めて先発出場した2日の湘南戦からは3試合連続無失点での3連勝。結果として、守護神の変更と同時にチームの守備は安定した。
今季の広島はミヒャエル・スキッベ新監督の下、攻撃的なスタイルを掲げ、前線から連動して激しくプレスを仕掛ける。最終ラインの背後には危険なスペースを与えることになるが、そこは大迫がカバー。10日の福岡戦で見せたようなシュートストップだけでなく、持ち味の広い守備範囲と積極果敢な飛び出しがより生きることになる。フィードの成功率もこの3試合の平均は約90%。最後尾から攻撃の組み立てでも貢献する。
広島の正GK争いは他のどのチームよりハイレベル。J1歴代4位の102完封をマークしている林と、昨夏の東京五輪代表メンバーの大迫が1つの枠を争っている。昨季中盤までは大迫が守護神の座を守ったが、終盤戦は林が正GKを務めた。その経験豊富なベテランの存在は大きく、GKとして史上最年少の19歳で日本代表デビューを果たした大迫でもリーグ戦の出番は限られていた。
こうしたGKの「世代交代」がチームの流れを一変させた好例は日本代表にもあった。10年W杯南アフリカ大会直前までは34歳の楢崎正剛が正GKを務めていたが、チームとして守備が安定せず、大量失点が続いた。そこで当時の岡田武史監督は決断を下す。開幕まで1カ月を切ったところで守備的な布陣への変更とともに控えGKだった27歳の川島永嗣を抜てき。本大会でもビッグセーブを連発し、16強進出の立役者の1人となった。
現在の日本代表は安定感抜群の清水GK権田修一(33)が守護神を務める。J1で3試合連続完封の大迫は1試合90分換算の失点数が0・97点となり、通算5400分以上出場のGKでは歴代3位、日本選手では堂々のトップに立つ。日本代表の第2GKが不透明なままW杯開幕まで約7カ月。東京五輪世代の22歳GKが、チームの勝利のため、Jリーグの舞台で奮闘している。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)




