J1アルビレックス新潟はアウェーで浦和レッズと0-0で引き分け、勝ち点1を積み上げて自力で残留を決めた。J1復帰2年目の今季はクラブ史上初めてルヴァン杯で決勝に勝ち進む躍進を見せた一方で、リーグ戦は苦戦。10勝12分け16敗の16位で終えた。

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自力で残留を決めるという強い意志を感じた。ボール保持率は42%。理想とする戦いではなかった。それでも、チームの総走行距離は今季最長の122・85キロ。MF宮本英治が最終節で個人1位となる13・53キロを走り、MF長谷川元希も2位の12・95キロ、MF秋山裕紀が6位の12・64キロと、3人がトップ10入りした。チーム全員が最後までJ1残留を目指して走り抜いた。

主将のDF堀米悠斗は勝利への執念を見せた。試合終盤、ボールに届かないと思われるようなところで、もうひと踏ん張り。そのプレーで足をつった。鉄人DF藤原奏哉は体を投げ出して相手のシュートをブロックした。攻め上がる回数は限られたが、両サイドバックともに走行距離は10キロを突破した。チーム全員が粘り強く限界まで走り抜く。これも昔ながらのアルビらしさか。

ただ、手放しで喜べないサポーターも多いはず。パスサッカーを突き詰め、「てっぺん」を目指してスタートしながら16位。最後は9戦勝ちなし(3分け6敗)で終えた。

本来の戦いとは違う、ボール保持率で相手を下回った試合は最後の浦和戦を含めて8試合あったが、その戦績は5勝3分けの無敗という「矛盾」。新潟が先手を奪い、相手が追い付こうと巻き返したことで保持率が最終的に逆転したこともあっただろうが、終始圧倒して勝ちきった試合は少なかった。

このデータから方針転換を求めているわけではない。

今夏の欧州選手権(ユーロ2024)を制したスペイン代表。戦力、レベルの違うはあるにせよ、新潟と同じようなスタイルで躍進を続ける。ボール保持率で70%を超えることもあったチームは、デラフエンテ監督の下、伝統のポゼッションに固執せず、その戦い方を大事にしつつも微調整を加えた。

これまではカウンターを食らい、自滅することが何度もあったが、リスク管理をより徹底。臨機応変に守るときは守り、両サイドのスピードを生かした逆襲速攻に磨きをかけた。同国のマルカ紙は「これまで我々は時代に適応するすべを知らなすぎた」と、この変化をポジティブに捉えていた。

スペイン人のアルベル監督が植え付け、松橋力蔵監督が引き継いだ今の新潟のスタイル。ルヴァン杯で決勝に進み、その戦いは数多くの評論家から高い評価を受けた。これまで積み上げた戦い方を大事にしつつ、「矛と盾」ともにその使い方を状況に応じて変える必要がありそう。もちろん、そのためには戦力補強による変化も欠かせない。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「解析料理」)

浦和対新潟 試合前、オレンジのボードを掲げる新潟サポーター(撮影・浅見桂子)
浦和対新潟 試合前、オレンジのボードを掲げる新潟サポーター(撮影・浅見桂子)