2年連続でJ1残留争いに巻き込まれたガンバ大阪。14年度には3冠タイトルを独占するなどJリーグ屈指の名門クラブになったが、この数年は低迷を続ける。クラブOBで元日本代表FWの永島昭浩氏(55=日刊スポーツ評論家)が生観戦し、この日の鹿島アントラーズ戦を分析した。

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この試合で2戦連続で引き分けとなるなど勝ち星に恵まれていないが、サッカー自体は悪くはない。最終ラインからの攻撃の組み立ても開幕当初より確実によくなっている。高江ら若手のボールへの激しいチェックといい、自分たちの役割や仕事をきっちりこなしていた。

得点した20歳の食野(めしの)も同じだ。なかなか楽しみなストライカーが現れたと思う。アデミウソンからのパスに右足を振り抜き、ふかすことなく右隅に決める得点センス。何より先輩たちに遠慮することなくボールを要求する度胸や責任感は、なかなかのものだった。

一方でG大阪がサイド攻撃を仕掛けた際に、食野がサイドに寄りすぎたり、引きつけられたりし、ゴール前が無人になる場面が見受けられた。肝心の仕事は得点すること。パスをもらいたいのは分かるが、ピッチ全体を冷静に見てバランスをとってほしい。動くだけではなく、ゴール前にとどまる我慢も大切だ。せっかく好機をつくってもゴール前が無人になっては本末転倒。求められるのは、この試合でいえば2点目だし、状況判断を高めることが大切だ。

14位磐田以下、15位G大阪を含めて、18位清水まで勝ち点13で5チームがひしめく混戦状態だが、有望な若手が増えてきたG大阪に関しては、夏以降に結果が出ると見ている。(日刊スポーツ評論家)