「何やってんだよ。日本は!」。友人から怒りのメールが来た。ドイツに勝った時は「さすが日本、信じてたよ」だったのが、ひどい手のひら返しだ。もっとも、これが多くの日本人の気持ちかもしれない。それほど、ドイツ戦歴史的勝利からのコスタリカに敗戦はショックだった。

過去未勝利の「格上」ドイツに勝ち、その3日後に「格下」のコスタリカに負ける。それがサッカーなのだ。多くの団体スポーツの中でも、最も番狂わせが起きやすいと言われるのがサッカー。1試合で記録される得点が少ないことなどが理由で、さまざまなデータも証明している。

ある程度の実力差がなければ、守りを固める相手から90分(今大会は100分を超えることもあるが)でゴールを奪うのは簡単ではない。カウンターから事故のような失点を食らうこともある。「勝つことも負けることもある」のは、サッカーの魅力でもある。

直接の敗因はパスをつなごうとして小さくなったDF吉田のクリアかもしれない。森保監督の采配に疑問の声もある。しかし、いずれも結果論。内容的には圧倒していた(と思う)し、いつ得点が入ってもおかしくない試合だった。本当に危ない場面はあの失点シーンだけ。負ける試合ではなかった。ただ、同じようなことは、日本に敗れたドイツも思うだろうが。

もっとも、森保監督はドイツ戦の勝利もコスタリカ戦の敗戦も頭にはあったはず。ドイツ戦が決して「奇跡」でなかったのと同様、コスタリカ戦も「誤算」ではない。2試合で勝ち点3は想定内ともいえる。

スペインがドイツと引き分けたことで、4チームすべてに決勝トーナメント進出の可能性が残った。

日本にとって良かったのはスペインがドイツに勝つことだった。仮にスペインが勝ち点6で突破を決めれば、日本はスペイン戦に引き分けて勝ち点を4にすればコスタリカがドイツに勝たない限り突破だった。

しかし、ドイツが勝ち点1を得たことで、日本は最終戦に引き分けても苦しくなった。日本が勝ち点4にしても、ドイツが勝てば並ぶ。ドイツとスペインが1-1だから、総得点で不利になる。コスタリカが勝てば6で、日本は届かない。ドイツとコスタリカが引き分けるしかないのだ。

もっとも、スペインに勝てば問題ない。勝ち点を6とすれば、得失点差もあって2位は確実。目標が分かりやすくなったし、戦略も立てやすい。「絶対に負けられない」ではなく「絶対に勝たなければならない」スペイン戦。日本からできることは、熱い応援をドーハに送ることだけだ。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)

コスタリカに敗れ、厳しい表情の左から伊東、三笘、鎌田(撮影・江口和貴)
コスタリカに敗れ、厳しい表情の左から伊東、三笘、鎌田(撮影・江口和貴)