清水エスパルスのクラブ創設25周年記念マッチに、サプライズで元日本代表の三都主アレサンドロ氏(39)が登場し、サポーターを沸かせました。チームもG大阪に2-0で完封勝利。クラブOBの持つ力を感じました。

 7月8日、IAIスタジアム日本平で行われたG大阪戦。試合前のピッチで、トークショーが行われました。特別ゲストとして、事前に公表されていたのは元イタリア代表のマッサーロ氏(56)の登場。ACミランで活躍し、95~96年に清水でプレーしました。今回、「静岡市お茶大使」にも任命され、サッカーだけではなく文化の面でも日本とイタリアの架け橋になっています。

 マッサーロ氏に続いてピッチに姿を現したのが、三都主氏でした。名前がアナウンスされると、サポーターはどよめき、大きな拍手。スタンドに手を振る三都主氏も、笑顔でした。

 清水時代には、左サイドのスペシャリストとして活躍。現在はブラジルで、サッカーや柔道、テコンドーなどのさまざまなスポーツを通じて子どもたちの支援をしているそうです。今回は、15年限りで現役を引退した元浦和MF鈴木啓太氏(36)の引退試合(17日・埼玉)に出場することもあっての日本滞在。何とトークショーへの参加は、当日に決まったそうです。

 それでも、三都主氏はかつて慣れ親しんだピッチに立ち、「サポーターが作ってくれた雰囲気の中でプレーできたことは、うれしかった。いい思い出も悪い思い出も、いっぱい詰まっている場所」と振り返りました。試合もスタンドから観戦し、清水のベンチ外の選手とも言葉を交わしていました。さらに「また25年後に、戻って来たい」とも話していました。

 清水は、昨季限りで現役引退をしたクラブOBの元日本代表市川大祐氏(37)が今年から普及部スタッフに就任しました。他にもクラブオフィサーの斉藤俊秀氏(44)や大榎克己氏(52)久保山由清氏(40)ら、クラブを内側から支えているOBがたくさんいます。

 選手としてクラブをよく知る人材が立場を変えて戻り、新たな歴史をつくるきっかけをつくる。まさに、クラブ創設25年の力です。OBスタッフの活躍が、クラブの命運を握る。私はそう思います。


 ◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、15年5月から静岡支局に異動。今年はJ1清水とJ3藤枝の担当。三都主氏は現役時代とほとんど変わらない体形で、驚きました。