J2アルビレックス新潟の若武者、MF三戸舜介(18)の成長から目が離せない。山口県の出身で、JFAアカデミー福島所属の20年秋から特別指定選手として新潟に加わり、今季から正式にトップチームの選手となった。163センチと小柄ながら素早いクイックネスで瞬時に相手を抜き去るドリブル、運動量と視野の広さを生かした展開力が特長の超攻撃的ミッドフィルダーだ。

開幕のギラヴァンツ北九州戦(4○1)でプロデビューすると、ここまで6戦戦連続でベンチ入り。3月27日の東京ヴェルディ戦(7○0)では後半38分から出場し、終了間際にプロ初得点を挙げた。「勝利に自分の得点がついてきたことが、うれしい」と喜んだが「満足はしていない」と、試合後はピッチ脇の室内運動場でコーチと居残り練習を行った。「納得がいくまでやりたいタイプ」と“サッカー小僧”は常に向上心を持ち続ける。

将来性は十分。司令塔で今季すでに5得点5アシストのMF高木善朗(28)は三戸に対し「いずれクラブにとって大切な選手になる。監督にも言われているが、自分の経験をすべて伝えていけたら」と太鼓判を押す。三戸自身も「ヨシ君の動きをベンチからずっと見て、勉強している」と高木のボールの受け方、ファーストタッチで相手を抜き去る技術、試合展開に応じた状況判断など「師弟関係」を結んだゲームメーカーからすべてを吸収するつもりだ。

「三戸ちゃん」のニックネームでかわいがられる18歳は今季を飛躍の年にすべく、まずは「守備力アップ」を目標に掲げ、初先発を狙う。「同じ世代でスタメン出場している選手もいる。現状に満足せず、努力する」と開幕から無敗をキープするチームで、原石は技を磨く。【小林忠】

◆小林忠(こばやし・ただし)1985年(昭60)6月26日、新潟県阿賀野市(水原町)生まれ。水原サッカー少年団で競技を始め、北越高2年時に全国高校選手権出場。保育教諭として阿賀野市内のこども園に12年半勤務した後、19年途中に入社。20年からJ2新潟担当。

練習で笑顔を見せる三戸(2021年4月3日撮影)
練習で笑顔を見せる三戸(2021年4月3日撮影)