高円宮杯U-18プリンスリーグ東北を主戦場にする尚志(福島)は、華麗なパスサッカーをぶれずに貫いている。前進しながら高い位置でボールを回し、簡単にクリアせず、大切につないでいく。ここまで開幕4連勝(第2、6節は延期)。21得点2失点と攻守で圧倒し、東北のライバルチームを寄せ付けず、プレミアリーグEAST昇格に向けて好スタートを切った。

大雨による水たまりも関係ない。ボールが止まるようなピッチコンディションでも尚志スタイルは健在だった。4月29日、雨中の盛岡商(岩手)戦。ロングボールに頼らず、徹底的に地上戦にこだわった。結果としてシュート31本を浴びせ、7-0で完勝した。

試合前ミーティングで仲村浩二監督(48)は「自分たちのサッカーをやれるか、やれないかをジャッジしてくれ」と選手に判断を委ね、磨いてきたプレーと正反対のロングボール中心に攻め込む選択肢も残した。それでも選手は地上戦を選び、高い技術力を生かしてゴールショー。「うちのやりたいサッカーができないんじゃないかと思っていたが、自分たちのつなぐサッカーを悪コンディションでもやってくれた。それが大量得点につながった」とたたえた。

尚志スタイルの要は、中盤に君臨するMF松尾春希とMF新谷一真(ともに3年)だ。指揮官は「松尾と(新谷)一真は去年からずっと出している選手なので、その2人を中心にゲームを組み立てられればと思っている」と全幅の信頼を寄せる。松尾は「自分たちのメインの目標は選手権優勝。その中でプレミアに昇格して、インハイ(全国高校総体)はベスト4以上いきたい」と意気込む。

東北勢ではプレミアリーグEAST首位の青森山田が、頭ひとつ抜けた存在だが、福島の雄も負けていない。「PRIDE OF SHOSHI」のスローガンのもと、華麗なパスサッカーを展開し、全国舞台でも存在感を示していく。【山田愛斗】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

尚志対盛岡商 尚志で2年時から主力を担うMF新谷(左)
尚志対盛岡商 尚志で2年時から主力を担うMF新谷(左)