元Jリーガーの井手口純さん(42)が北信越大学サッカーリーグ1部で4連覇中の新潟医療福祉大のコーチに就任し、3季目を迎えている。27歳で現役を引退し、指導者としてのセカンドキャリアを歩み始めて14年目。神奈川・桐光学園高時代に指導を受けた佐熊裕和監督(57)とタッグを組み、全国大会での上位進出とプロ選手輩出という大きな目標に掲げ、日々、奮闘している。
純さんは「黄金世代」と呼ばれる79年生まれで、高校1年時に同期の小野伸二(コンサドーレ札幌)、稲本潤一(SC相模原)らとともに95年U-17世界選手権に出場。翌年に出場した全国高校選手権では1学年先輩の中村俊輔(42=横浜FC)とともに準優勝に輝いた。卒業後の98年に横浜マリノス(現・横浜Fマリノス)に入団し、07年に当時J2だった徳島ヴォルティスでスパイクを脱いだ。引退後は母校の桐光学園高コーチや産業能率大ヘッドコーチを歴任し、19年に同大のコーチに就任した。
現役時代はDFでプレー。プロ生活9年間でJリーグ通算141試合出場5得点を記録。見事な数字だが「挫折が多かった」と振り返る。1年目は入団前に負った負傷の影響に加え、井原正巳や小村徳男、松田直樹といった日本代表クラスをそろえる守備陣の高い壁を越えられず、出場機会に恵まれなかった。その後、湘南ベルマーレやサガン鳥栖などで出場を増やしたが、絶対的な主力にはなれなかった。「強度の高い練習に参加出来ている実感はあったが、それ以上の努力が出来なかった。特に若い頃は『努力の仕方』を理解していなかった。正直、後悔はあります」。
純さんは優しい口調ながら、選手に的確な指示や提案を投げかける。原動力は「若い頃の自身の経験」。若い世代には、自分で考えさせることも重要だが、プレーの道筋をある程度つけてあげることも必要と話す。「手をかけずに、目をかける。それが指導者の使命。若い時に感じたことを伝えたい」。
創部17年目を迎えた同大サッカー部はこれまでに、J2アルビレックス新潟FW矢村健(23)など約10人をプロに送り出した。現4年生のMFシマブク・カズヨシ(J2新潟内定)、MF松本雄真(J3カターレ富山内定)はすでに22年シーズンからのJ行きが決定している。今年も全国から多くの選手が大学の門をたたいた。「本気で向かって来る子には、こちらも真剣に。ここ新潟の地から大学日本一を狙うことはもちろん、日本を代表するような選手が出てくれば、うれしいです」。純さんの言葉は力強く、夢を実現する未来を見据えている。【小林忠】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)
◆小林忠(こばやし・ただし) 1985年(昭60)6月26日、新潟県阿賀野市(水原町)生まれ。水原サッカー少年団で競技を始め、北越高2年時に全国高校選手権出場。保育教諭として阿賀野市内のこども園に12年半勤務した後、19年途中に入社。20年からJ2新潟担当。




