開幕から4試合3分け1敗とスロースタートだったアルビレックス新潟にエンジンがかかってきた。19日甲府、26日群馬と続いたホーム戦で連勝し、順位を6位(第6節終了時点)に上げてきた。

昨季コーチを務めた松橋力蔵新監督(53)のもと、人とボールが良く動く、テンポのいい攻撃から得点を重ね始めたチームは、アタッキングサードで相手守備陣をかく乱させている。既存選手はもちろん、新加入選手も戦術にフィットしてきた。その中でもJ1浦和から完全移籍で加入したMF伊藤涼太郎(24)は気になる存在だ。

ゴールに向かう姿勢が、いい。常にギラついている。開幕から6試合で放ったシュート数は3得点のFW谷口海斗(26)より1つ多い13本。シュート0に終わった試合はここまでなく、5日山口戦は4本を打ち込んだ。甲府戦では見事なボレーシュートで移籍後初ゴール。今季、自らに課す「15得点」の目標達成を感じさせる躍動っぷりだ。

トップ下、シャドーが主戦場。私が勝手に命名している「エンゼル○○」を駆使して味方の良さも引き出す。山口戦ではそのエンゼルターンからのエンゼルスルーパスでMF本間至恩(21)の同点弾をアシスト。群馬戦ではDF堀米悠斗(27)から入った縦パスをダイレクトでフワッと浮かせて谷口のゴールをお膳立てした。正確なパスとスピードに乗ったドリブルができる“高性能アタッカー”は、MF高木善朗(29)と立ち位置を柔軟に変えながら、巧みに攻撃のタクトを振るう。

バイタルエリアの狭いスペースは「大好物」。パスを受ける前に周囲との連係で崩すのか、個で打開するのかを瞬時に判断し、決定的な仕事をする。だがチームと同様、伊藤もまだまだ発展途上。プレーヤーとしてのピークはこれから迎える。「フィニッシュの質をもっと上げたい」と全体練習終了後は居残りでシュートを打ち続ける。

プライベートでは1日に結婚したばかりの夫人と柴犬2匹に囲まれて幸せな時間を過ごす。柴犬を飼っている、という点は共通する私にも「カワイっすよね~。いやされますよね~。家は2匹とも黒柴です~」と気さくに声を掛けてくれる好青年。心優しい24歳のアタッカーはオフタイムの過ごし方を大切にしながらピッチでは強気に結果を求めにいく。【小林忠】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)