<アジア杯:日本2-2(PK3-0)韓国>◇25日◇準決勝◇カタール
日本代表GK川島永嗣(27=リールス)が、執念のPKストップでザックジャパンを決勝進出に導いた。日本(FIFAランク29位)はアルガラファ競技場で行われた準決勝で宿敵韓国(同39位)と対戦。2-2で延長戦を終えても決着がつかずPK戦へ。川島が韓国のPKを2本連続でストップし、3本目も相手キッカーのミスを誘い、日本代表は4人中3人が成功し3-0の圧勝。韓国戦勝利は05年8月以来。昨年6月南アフリカW杯決勝トーナメント1回戦、パラグアイ戦でPK戦負けした悔しさを晴らし、守護神川島が日本を救った。
勝利の瞬間、守護神はアッという間にイレブンの歓喜の輪に消えていった。緊張感から解き放たれた川島の表情は、喜びに満ちあふれていた。日本を救った2連続PKストップ。「120分、フィールドの選手があれだけ走って、成長も見せてくれた中で、あそこまで来たら自分が仕事する番なので、いい仕事ができてよかったです」。
完全に読み切っていた。我慢して我慢して、シュートの瞬間まで動かずコースを見極めた。鬼のような形相でキッカーをにらみつけると、韓国1番手MF具滋哲のキックを右に飛び、両手ではじき出した。
続く2番手MF李容来のシュートは体でブロック。右手人さし指を天空に突き上げた。韓国3番手のDF洪正好のキックは枠の外。川島の迫力が日本に勝利をもたらした。
恩師の思いに報いた。09年から川崎FのGKコーチに就任したイッカ氏(53)から、PKに対して繰り返された言葉がある。「川島は気持ちが強すぎる上に動くのが早すぎる。お前の瞬発力なら相手が蹴ってからでも止められる。だから直前まで動くな」。川島の悪癖を言い当てていた。
昨年6月の南アフリカW杯決勝トーナメント1回戦パラグアイ戦。PK戦では冷静さを欠き、悪い癖が出た。キッカーより先に動き、逆を突かれシュートを決められた。帰国後、イッカ氏に「早く動きすぎていたよ」と声を掛けられた。「相手のPKの情報は何もなかった」。W杯後にリールスに移籍した守護神は、極限まで動かず相手のキックを読むという恩師の教えを体現した。
1次リーグのシリア戦で退場処分を受け、準々決勝カタール戦ではFKの壁の作り方をミス。失点の要因をつくってしまった。「壁の作り方については問題なかったと思っているが、修正点はあった」。この日は延長戦終了間際の同点弾を含む2失点を喫したが、前半16分に韓国MF奇誠庸のFKを美技で防ぎ、最後のPK戦で勝利の立役者となり、ようやくチームへの恩返しができた。
1月4日にチームに合流すると「自分は年齢的にも上になった。言葉より、プレーや態度でチームを引っ張りたい」と話していた。
まさに、その言葉通り気合とプレーで仲間を決勝進出に導いた。「まだ1つ残っているので。また、いい形で臨めると思う。こういう試合で、みんなが成長できると思う。厳しい試合は続くと思いますけど、次で負けたら意味がない」。
04年のアジア杯中国大会、準々決勝ヨルダン戦で当時正GK川口がPK戦で伝説となったファインセーブ連発の離れ業を見せた。それから7年、日本に本物の守護神が誕生した。川島に引っ張られ、日本は2大会ぶりのアジア制覇へ、あと1勝。【菅家大輔】

