<アジア杯:日本1-0オーストラリア>◇29日◇決勝◇カタール

 日本(FIFAランク29位)はカリファ競技場で行われた決勝でオーストラリア(同26位)と対戦。0-0のまま突入した延長戦の末、勝利した。

 GK川島永嗣(27=リールス)が2度の大ピンチを気迫で防いだ。後半27分、ロングボールのこぼれ球の処理をDF岩政が誤り、オーストラリアFWキューウェルに裏へ抜け出される。1点を覚悟したキューウェルの左足シュートを、次の瞬間右足でブロックした。同42分にはDF今野が相手のプレッシャーにボールを失い、またもキューウェルと1対1の局面。それでも川島は抜群の反応を見せ体の真ん中でボールを押さえた。今度はシュートすら打たせなかった。

 延長に入ると集中力がさらに研ぎ澄まされた。同前半7分には果敢に飛び出してクロスをキャッチ。同11分にはクロスに飛び込んできたケーヒルのラフプレーにも屈しなかった。手を使ってきた相手をにらみつけると、荒々しく起き上がらせた。怒りの表情ともとれる形相で、味方を鼓舞し続けた。

 日本の守護神としての自負がある。「僕の仕事はゴールを守ること」と公言。各所属クラブの兼ね合いで、代表メンバーが全員集合したのはカタールに入ってから。川島自身もリールスの試合があったため、現地合流した。準備期間が短いチームであっても、最善の準備をしてきた。出場停止となったサウジアラビア戦も、ピッチに立っている気持ちで仲間を後押しした。

 愚直にハイボールを繰り返す相手にセンターバックの吉田も今野も体力を奪われる。途中出場の岩政も肉弾戦に苦しんだ。それでもことあるごとにハイボールの対処を各選手にコーチング。延長後半4分に待望の先制点を上げると、相手のなりふり構わない猛攻にさらされた。体をぶつけられても、顔をゆがめても、ボールだけは離さない。アジア制覇は川島が体を張り続けた勲章そのものといえた。