J2横浜FCのFWカズ(三浦知良=51)と、日本代表の森保一監督(50)が4日、再会した。横浜FCのホーム大分トリニータ戦を視察。93年「ドーハの悲劇」でともに泣いた現在1歳差の2人が、50歳を超えてなお現役を続ける選手、もう一方は代表監督として対面。試合前にウオーミングアップをしていたカズのもとへスーツ姿の森保監督が歩み寄り、握手とハグの後、3分間ほど談笑した。最後は肩を組んで報道陣の写真撮影に応じるなど、なごやかな時間が上位対決を控えるニッパツ三ツ沢球技場に流れた。

試合は横浜FCが3-1で勝利。カズは後半ロスタイム2分から交代出場を果たした。スタンド上段から見守っていた森保監督はその時、早めに退席して取材を受けていた。出場をアナウンスで知ると「ちょっといいですか」と質問を切り上げてピッチサイドへ。カズが最前線で走る姿を見届けた。

森保監督は「すごいですね、僕の2歳(学年)上なのに。エネルギーをもらいました。(試合前に)お話しさせていただいても若いと感じましたし『カズさんも見てますので』と伝えました」と、現役である以上は代表候補であることを明言した。

2人の関係は92年にさかのぼる。森保監督が現役時代、初めて日本代表に呼ばれたのが、その年のキリン杯。初めて会った先輩のカズから「もりやす」と正しく名字を読んでもらえず「森・保一君」と勘違いされたことから、愛称「ポイチ」となったことは有名な話だ。

そのカズは「日本代表監督ですから、今日は『ポイチ』と呼べなかったね」と笑顔。「就任後の代表戦が素晴らしかったという話を伝えさせてもらった。逆にパワーをもらいました。会って、ちゃんと話すのは11年以来7年ぶりかな」と再会を楽しんだ。

森保監督が、カズも代表候補と話したことを伝え聞くと「そう言ってくれたんで、若い選手に負けないように頑張りたい。僕だけじゃなく、こうやって代表監督が試合を見に来てくれたので大きなモチベーションになった」。永遠に追い求める代表復帰へ決意を新たにした。

カズは今年7月27日、森保監督がA代表を率いることが決まった直後にもエールを送っていた。当時は「僕らの世代からA代表の監督が誕生したのは、個人的にはうれしく思う」と喜び「日本サッカー界にとって新しい挑戦だと思います」と期待。「26年前はポイチ(森保監督)のこと知らなかったですからね」と苦笑いしつつ、実際にプレーしてみて、中盤でチームを支えた森保監督を「代表にいなくてはならない水を運ぶ役というか。重要なところで、どちらかというと派手目の僕らを支えてくれたんじゃないかな」と振り返り「そういう存在だから監督としても、いろんなところに目が届くんだと思います」と太鼓判を押していた。