日本サッカー協会は18日、東京オリンピック(五輪)に臨む女子日本代表「なでしこジャパン」のメンバー18人を発表した。FW岩渕真奈(28=アーセナル)は、なでしこで初めて10番を託された。メンバー発表を受け、日刊スポーツの取材に応じ、澤穂希さんが背負った10番を担う覚悟などを語った。

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なでしこの10番は特別だ。日本女子、初の世界大会だった後のW杯、91年世界選手権では23歳だった高倉監督が背負い、99年からは15年以上、レジェンド澤さんの代名詞だった。30年の時を経て、重みを知る指揮官から初めて10番を託された。岩渕は「いつかは背負いたいと思っていたし、ここ数年も目標にしていた番号。素直にうれしい。今まで以上に覚悟や責任を背負って戦わないといけない。自分自身に与えられた1つの課題として、ポジティブにとらえて頑張りたい」。大きな期待を「課題」と受け止め、襟を正した。

メンバー発表会見で高倉監督は「なでしこの象徴的な10番と言えば澤さん」と言った。なでしこや日テレでともにプレーしてきた岩渕も、そのイメージが強いという。「苦しいときは私の背中を見て」と鼓舞した澤さんに救われてきた。「選手としても、人としても大好きで、ああなりたいと強く思わせてくれる人。番号だけじゃなんとも言えないけど、澤さんみたいになりたいと長年思ってきた。今回10番を背負えることになって、少しだけど近づけたかな」と喜んだ。

昨年冬には大きな決断をした。3年半在籍したINAC神戸から、イングランドへの挑戦を決めた。延期になった東京五輪の半年前で迷ったというが、年齢的にチャンスを逃したくない思いが強かった。「このタイミングで出ることが全てなのか、よく考えた上での決断だったけど、今は本当に行ってよかったと思う。あのときの決断は間違っていなかった」。アストンビラでは移籍後のリーグ戦全13試合に出場してチームの核となり、強豪アーセナル移籍を果たした。

メンバー発表前のなでしこの活動でも2試合3得点3アシストと文句なしの結果を残した。「10番はエース、チームを象徴する選手がつけるべき番号。そういう選手にならないといけない」。憧れの番号を背負い、10年ぶりの世界一を取りに行く。【杉山理紗】

 

高倉監督(岩渕へ) 「チームの顔になるときは、持っているパフォーマンスや潜在能力含めて、人間的にも成熟したときだなと感じていた。ここしばらくのパフォーマンスや合宿での言動に強い自覚を感じたので、今10番を託しても責任を果たしてくれると感じた。東京五輪という大きな舞台で、チームの浮き沈みを背負って立つくらいの気迫で、グラウンドで躍動してくれることを期待している」

 

○…岩渕がこれまでの歩みを自らつづった初の著書『明るく 自分らしく』(KADOKAWA=1650円、税込み)が今月30日に発売される。「今まで表に出ていなかったことも話しています。こうやって今、岩渕真奈はあるんだな、と知ってもらえる本です」。