「ヨシカツロード」で、カタール行きの道を歩む。日本サッカー協会は26日、W杯カタール大会アジア最終予選のオマーン戦(9月2日)と中国戦(同7日)の日本代表24人を発表。東京五輪代表のGK谷晃生(20)が初招集された。同五輪で指導を受けた川口能活GKコーチ(46)も96年アトランタ五輪を経て、直後のA代表に初招集。“師匠”と同じ軌跡をたどり、代表定着を狙う。

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00年シドニー五輪からは、10人が代表に呼ばれた。そこから21年。過去最多に次ぐ、9人の選手が東京五輪から選ばれた。オーバーエージのDF吉田、DF酒井に加え、MF久保、堂安…。見慣れた名に、GK谷が加わった。代表メンバー24人中、唯一の初招集。「サッカーをやっている人ならば誰しも目指すところ。正直、まだ実感が湧かないんですけど、自分の良さのアグレッシブさを失わないようにやっていけたら」と言った。

同じ道をたどる。東京五輪の川口GKコーチは、96年アトランタ五輪で「マイアミの奇跡」の立役者となり、直後に代表初招集された。98年W杯フランス大会では正GKを務めた。谷は東京五輪直前まで、広島GK大迫に次ぐ2番手。本大会で序列を覆し、全6試合にフル出場。「大きな舞台でプレーする責任感、1つ1つのプレーに神経を使うところを感じた」とA代表の切符を手にした。「生き残りもそうですし、競争の中に入っていく気持ちを持ってやっていけたら」と道を開く。

系譜を継ぐ。東京五輪の準々決勝(ニュージーランド戦)はPK戦にもつれた。直前に同コーチからアドバイスを受けた谷は2本目を止め、チームを勝利へ導いた。17年前。日付も同じ7月31日。同じ準々決勝、キックオフ時間も同じ午後6時。アジア杯中国大会のヨルダン戦は、やはりPK戦。そこで川口コーチはビッグセーブ。「7月31日、午後6時キックオフのPK戦」は、川口コーチから谷に受け継がれた。

川口コーチが21歳で代表初招集ならば、谷は1歳若い20歳で初のA代表。38歳の川島、32歳の権田と偉大なGKとの競争も「たくさんのことを経験していろんな厳しさを知っている方々。目で見ていろんなものを感じて、自分のものにしていければ」と臆することはない。偉大な先人の道をたどり、カタール本番への道筋を立てる。【栗田尚樹】

◆谷晃生アラカルト

◆生まれ 2000年(平12)11月22日、大阪・堺市。

◆家族 母真由美さんはバレーボール女子の実業団・新日鉄堺の元選手。父信賢(のぶよし)さんも新日鉄(現日本製鉄)で応援部所属。兄が2人。

◆命名 シドニー五輪柔道男子100キロ級で金メダルを獲得した井上康生にあやかり「こうせい」に。

◆サッカー歴 TSK泉北SC-G大阪ジュニアユース-同ユース。高3に進級時に飛び級でG大阪とプロ契約。20年から湘南へ期限付き移籍。J1通算48試合。

◆東京五輪 本大会で守護神の座をつかみ、全6試合でフル出場。1次リーグ第2戦のメキシコ戦ではあわや同点弾になるところをビッグセーブ。ニュージーランドとの準々決勝のPK戦では1本止めるなど4強入りに貢献。

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