元日本代表監督のイビチャ・オシム氏の訃報を受け、当時日本代表でコーチを務めていた大熊清氏(現清水エスパルスゼネラルマネジャー、57)が故人をしのんだ。2日、静岡市内で取材に応じ「残念だし、オシムさんが一番悔しいと思う」と声を詰まらせた。

日本代表での活動では、急きょ練習メニューが変わることも少なくなかった。大熊氏は「(練習に向かう)バスが一番緊張していた」と明かし、練習を盛り上げるために発していた言葉も注意されたという。「ゴールが入っていないのにナイス、ナイスと言っていたら、『褒めたら許さないぞ』と真顔で言われて。日本人がどうしたら世界で勝てるかを常に追求していた方だった」。

最後に直接会ったのは「数年前に日本に来た時だと思う」。東京駅で食事し、隣の席に座った際も多くは語らなかったという。「その時も余計なことはしゃべらなかった。以心伝心というか、『まだまだだな』ということを言われているような雰囲気だった」。偉大な存在だったオシム氏には「サッカーの本質を教えてもらった」と、涙を流しながら感謝していた。