宮市が、日の丸を背負って帰ってきた。

東アジアE-1選手権で、日本(FIFAランク24位)は、中国(同78位)に0-0で引き分けた。豊田スタジアムでの一戦に、愛知出身のFW宮市亮(29=横浜)が、先発。地元の大応援を受けて、ピッチに立った。チームは、27日に韓国と対戦する。

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スタメンが発表されると、サポーターは声、拍手、太鼓で盛り立てた。「宮市亮」。この名がコールされると、ボリュームはマックスと化した。先発11人の中で、一番の盛り上がりとなった。豊田スタジアムに「宮市亮」の名が、何度もこだました。愛知出身。12年以来、10年ぶりに日本代表へ復帰した男が、地元に帰ってきた。

後押しを受けた宮市の足取りは軽かった。前半から自慢のスピードを武器に、右サイドを駆け上がった。前半8分には、パス交換から崩し、ペナルティーエリア右脇からクロス。精度を欠いたが、躍動感のある動きで印象づけた。同19分には、ドリブルで右サイドを突破。ゴールライン付近からニアサイドへ絶妙なクロスを上げたが、FW細谷のヘディングは枠を外れた。

たくましくなって、帰ってきた。前半38分には、右サイド深くで、激しいチャージで倒された。しばらく動けなかったが、途中交代した後半24分まで攻撃にスイッチを入れ続けた。過去には、膝の前十字靱帯(じんたい)を3度も損傷。「けがで苦しんでいるアスリートも多い。でも、リハビリやっている時間が、いつか報われる時が来る。自分のような引退宣告された選手が、日本代表に返り咲くことも必ずある。勇気づけられるようなプレーをしていきたい」と話していた男。得点こそ、挙げられなかったが、大きくなった背中を故郷で見せた。

2連勝を目指したチームは、無得点で引き分け。相手はU-23主体のメンバーだっただけに、残念な試合内容となった。【栗田尚樹】

 

○…宮市は地元愛知で代表初先発を飾ったが、得点に絡むことはできなかった。「ゆかりのある地で、代表ユニホームを着させてもらえるのは光栄。ただ勝ちたかったのが正直な感想です」。それでも相手の激しい接触にひるまず、持ち味のスピードで積極的に仕掛けた。「難しい試合でも決定的な仕事ができる選手が求められている。今日はそれが出せなかったのが悔しい」。悔いは最後の韓国戦で晴らす。