駒大高(東京B)が、深見主将の一声で「トリプルスリー」の心得を思い出し、初の8強に進出した。後半11分に同点とすると、後半28分にMF菊地が勝ち越し弾を決めた。2日から連戦で疲労は限界。「3秒相手を追い続ける」など、躍進を支えたボールを奪われた時の心得「3秒3メートル3回」ができない。足が動かなかった。後半3分、先取点を奪われた。その直後だ。深見主将が叫んだ。

 「夏につらいことをやってきたんだ。思い出そう」

 その言葉でみんなの足が軽くなった。ハードワークを取り戻した。夏は練習試合後、400メートルトラックを失点数×10本の走り込み。負けたら倍。そんな地獄メニューもあった。駅伝シーズンに入り、同じグラウンドで走る駒大陸上部の張り詰めた空気も感じた。深見は「自分たちも集中力を持ち走れた」と影響された。大野監督から「ダメな世代」と怒られ続けていたチームが、歴史を塗り替えた。

 ◆東京勢2校が8強進出は初 国学院久我山(東京A)と駒大高(東京B)がともに準々決勝に進出。81年度の60回記念大会で初めて東京から2校(帝京8強、創価2回戦)が出場し、83年度大会から現行の各都道府県48代表が制度化されたが、東京勢2校が8強入りはこれまで1度もなかった。ともに3回戦以上は過去6度で、帝京(A)が準優勝、修徳(B)が3回戦の98年度が最後だった。