横浜MF中村俊輔(38)が、2点のビハインドをはね返す逆転勝利に導いた。

 両足首痛から復帰後、2戦連続でベンチスタート。神戸の攻撃に手を焼き、先制も許した前半を「間延びしていたり、1人1人の距離が長かった。前半10分くらいはやられていたけど、それ以外はお互いにスペースの突き合いって感じだった」とベンチから冷静に見つめていた。

 「自分が入ったらこうやろうとかは考えていた。あまり下がらず前でやろうと」。前半終了間際からベンチ裏で準備を始め、0-1の後半開始から途中出場すると、チームの空気が一変した。同12分にサイドチェンジで得点の起点になった。同40分には、仲間が先に動いたと判定され、蹴り直しとなったPKを右隅に決めて同点とした。蹴り直しの判定に、家本主審へ抗議する選手もいる中、落ち着きを失わなかった。「想定内です。慣れですね」と笑みを浮かべて振り返った。

 第2ステージからモンバエルツ監督は4-4-2のシステムへ変更した。連勝が続き、中村といえども定位置は確約されていない。それでも練習では30分以上居残り、シュート練習に励み、ピッチ外でもトレーニングを欠かさない。「出ない期間を生かして強度をあげて、治しつつ強化する」。38歳になってもうまくなりたい気持ちを忘れず、努力を続けているからこそ、ここぞという場面でチームを救うことができる。

 「今日も(富樫)敬真が出たり、途中から出た(伊藤)翔も、(遠藤)渓太も左SBで出て。兵藤とか(栗原)勇蔵もそう、難しい状況の選手がいる中で、みんなそれぞれ悔しい思いとかあると思うけど、そういう選手の分も考えて僕らもスタッフもやらなきゃいけない」と、主将として仲間を思いやる言葉も口にした。

 第2ステージは3連勝で首位。中村の存在の大きさが、改めて鮮明となった一戦だった。