鹿島の鉄壁守備が南米王者を完封した。好セーブを連発したGK曽ケ端準(37)が、この試合のMVPとなるマッチ・アワードを受賞。24歳昌子と22歳植田のセンターバック(CB)コンビも体を張って守りきった。南米の強豪ナシオナル・メデジンに計24本のシュートを浴びたが、歴史的勝利へと導いた。

 鹿島陣内にナシオナル・メデジンが襲いかかる。前半だけで浴びたシュートは15本。前半23分、GK曽ケ端がシュートをセーブした。そのこぼれ球を拾われ、相手に強烈なシュートを打たれた。ボールは枠内へ飛んだが、DF昌子が頭ではじいてクリア。マッチ・アワードに輝いた曽ケ端は、冷静に喜びをかみしめた。

 「難しい展開だからこそ力が出せた。本当は僕が目立たない方がチームにとっていいことだけど、DFの選手含めてリズムがつかめているのが、勝ち上がれている要因」

 昌子と植田の目標は「2人で日本代表のCBを担うこと」。それは、曽ケ端から言われ続けていることだった。覚悟を決めた昌子は植田のリオ五輪前に「お前が(リオから)日本に帰ってきたら、2人で日本代表になろう」と言い出した。「鹿島でリーグ優勝すればクラブW杯に出られる。多くの人の目に留まれば鹿島のためにも、日本のためにもなる」。元日本代表GKの背中を見て、自らも成長することを誓った。

 2試合連続完封。アフリカ王者と南米王者の攻撃を全てはね返した。昌子は「ただただ必死やった。とにかくクリアしよう、と。後ろにソガさん(曽ケ端)がいるから安心できる」。植田は「全員で守った結果」とうなずいた。

 あと1勝。守りきれば世界の頂点に立てるかもしれない。相手は欧州王者Rマドリードか、北中米カリブ海王者のクラブ・アメリカか。昌子は「相手はRマドリードになって欲しい。負けてもいいからという考えじゃだめ。やるからには勝ちを目指す」。鉄壁の守備を誇る鹿島が世界一に王手をかけた。【小杉舞】