開催国枠の鹿島MF小笠原満男が、恩師に並ぶ37歳でのクラブW杯初優勝を目指す。今日18日の欧州代表Rマドリード(スペイン)との決勝で夢の世界一に挑戦。前監督のトニーニョ・セレーゾ氏が、37歳だった92年に前身のトヨタ杯で初優勝し、翌93年には連覇を遂げてMVPを獲得した歴史の再現を狙う。チームは17日、横浜市内で冒頭15分公開の最終調整を行った。

 アジア勢として初めて立つ世界一決定戦へ、小笠原は「いつも通り」と自然体でトレーニングを終えた。冒頭のリレー形式スプリントでは普段と同じく先頭を走り、練習が非公開になってからは日本代表MF永木とともに先発組ダブルボランチの一角に入った。セットプレーやPK戦の準備を入念に行ったといい「みんなが1つになった上で、持てる力以上のものを出さないと」と集中力を高めた。

 相手は、あの「白い巨人」。まず勝てない。だが、鹿島の主将は「レアルが素晴らしいチームなのは間違いないけど、勝ちにいく。そういうチームなんで」と即答した。国内最多18冠を誇るクラブの精神は、相手の強弱によって左右されない。Rマドリード相手でも「俺らは経験を積むためにクラブW杯に出ているわけじゃない」と言ってきた。

 野望がある。09年にJ1で前人未到の3連覇を遂げてMVPに輝き、翌年の絵馬に「世界1」と書いた。昨年11月にはナビスコ杯を制してMVPを獲得。36歳での受賞は史上最年長だったが、満足せず、本紙の独占手記にこう寄せていた。

 「セレーゾは37歳の時にトヨタ杯で初優勝して(38歳の時に)MVPになっている。自分も、そういう人に追いつき、超えていけるように、やっていきたい」

 15年夏まで鹿島の監督を務めた元ブラジル代表MFのトニーニョ・セレーゾ氏は、今の小笠原と同じ37歳だった92年にサンパウロの一員としてトヨタ杯(クラブW杯の前身)初優勝。93年には当時世界最強のACミラン相手に1得点1アシストし、MVPに輝いた。その人から「俺は37歳で世界をとった。お前もまだまだやれる」と言われてきた小笠原が、夢舞台を踏む。

 世界を驚かせる奇跡の優勝へ「実感ないよね。アジア(ACL)を勝ち抜いたわけじゃないから」と笑ったが、この大会は、やぐらの一番下からはい上がって成長してきた。世界一、さらにMVPとなれば、クラブW杯に名称が変わった00年以降で史上最年長。決勝進出チームとプレーヤーにだけ見られる夢が今夜、日本で完結する。【木下淳】