隔年開催で節目の第10回を迎えたシンポジウム「フットボール・カンファレンス」が7日、広島国際会議場で始まった。3日間の日程で初日は育成がテーマ。日本協会の田嶋幸三会長(59)が、掲げている「育成日本復活!」を念頭に開会あいさつ。続いて、世代別代表の監督が活動の報告と育成法について討論した。

 昨夏のリオ五輪を率いた手倉森誠監督(49=現A代表コーチ)は「勝負本能」を養う必要性や浮き球処理など基本の徹底を、聴講した約1000人の指導者・関係者に訴えた。1勝1分け1敗で敗退した五輪1次リーグの映像を示しながら成果と課題を説明。「日本は平らなピッチで止めて蹴るのは上手だけど、それだけじゃダメ。浮いた球に対して、海外の選手はヘディングもうまい。日本人はセンターバックだけがヘディングするものだと思っている。基本中の基本をおろそかにできないし、勝負本能とか五輪代表の年代になった時には身につけておいてほしいことを今日、全国の指導者に伝えられた。下の年代も女子も課題に共通項が多いし、こうやって落とし込んでいけば日本の育成はステップアップすると思う」と手応えを得た様子だった。また、昨年12月にアジア・サッカー連盟から手倉森氏が受賞した審査員特別賞の授与式も行われた。

 5大会ぶりのU-20(20歳以下)W杯(5月、韓国)出場権を獲得した同代表の内山篤監督(57)は「(G大阪MF)堂安や(京都橘高FW)岩崎は、14歳の時からエリートプログラムの活動を通して見てきた」と継続の成果を強調。U-20W杯には「前から奪って攻めるスタイルを改善していく。ゴール前を固めるつもりはない」と、世界相手の真っ向勝負を予告した。

 U-17代表の森山佳郎監督(49)は、昨年12月のチリ遠征で撮影した試合映像を紹介。日本なら間違いなくファウルになる激しいプレーを南米勢が仕掛けてきたことや、接触プレーで「日本では聞いたことがない」という音が出るほどの肉弾戦を経験したことを明かし、会場を沸かせていた。

 このほか、日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(64)からのビデオメッセージ上映、日本協会・西野朗技術委員長(61)のスピーチ、なでしこジャパンとU-20女子代表を兼ねていた高倉麻子監督(48)の活動報告、審判と選手の協調に関する討論もあった。8、9日も同所で開催される。