J2東京ヴェルディの元日本代表MF橋本英郎(38)が、名古屋グランパス戦の後半22分に、FWドウグラス・ヴィエイラ(29)の決勝弾を見事にアシストした。

 橋本は1点を追う後半21分に途中出場すると、1分後、左サイドを走るヴィエイラに向かって、前線へ浮き球のパスを出した。そのパスを左足でトラップしたヴィエイラは、そのまま右足でゴールにたたき込んだ。

 ピッチに出る前、スペイン人のイバン・コーチと話す中で「相手のテンポに合わせて、つなぎが多くなって、相手の得意な形でゲームをしていた。違う形で(DFの)裏にボールを出したりをやってほしい」と言われ、それをすかさず実践した。「いい形でゴールになった。他の試合でも、彼に向かって裏に出すことが多かったし、試合後、意識していたと言ってくれた。きついボールだったので、よく止めて決めてくれた」と喜んだ。そして「彼(ドウグラス)は、あまり1対1が強いイメージがない。僕はシュートを外したかと思った」と言い、取材陣を笑わせた。

 この日は、試合の流れを変える重要なタスクを担っていた。MF渡辺皓太(18)と交代で入った段階で、ダブルボランチから中盤を3枚に変えるよう、ロティーナ監督から指示が出ていた。中盤で相手の起点となっていたMF田口泰士とワシントンを封じるためだった。橋本は「自分たち主導でプレーできていなかった。僕とカジ(FW梶川諒太)とウッチー(MF内田達也)で中盤を3ボランチみたいな感じに変えた」と振り返った。

 橋本が入った前後の2分間で、立て続けに2点が入った要因について聞かれると「分かんないです。僕が入った頃に、話していたら勝手に点が入ったんで。最近、ちょっと多いんですよね…僕が入ったら、勝手にゴールが入る。別に僕、何もしてないんですけど」と言い、またも取材陣を笑わせた。

 データも、橋本の言葉を実証している。5月3日のツエーゲン金沢戦で後半32分にMF中後雅喜と交代で入ると、1分後にDF井林章、同38分にはFWアラン・ピニェイロが決勝弾を決めて2-1で逆転勝ちした。7日の横浜FC戦では先発すると、前半7分にFW高木大輔が先制点を決め1-1の引き分け。同17日のジェフユナイテッド千葉戦でも、後半31分に渡辺と交代すると、1分後にFW高木善朗がゴールを決めて3-0で快勝した。

 5月以降、橋本が出場した6試合の戦績は3勝2分け1敗と、後半24分に途中出場も0-1で敗れた同27日のV・ファーレン長崎戦以外、負けがない。橋本が出た途端、誰かが決める“勝利の方程式”が、東京Vの暑い夏を乗り越える必勝パターンになるか、注目だ。【村上幸将】