Jリーグは25日、ホーム戦の入場者数を水増ししていたJ2のV・ファーレン長崎に制裁金300万円とけん責の処分を科した。15年シーズン開幕から、今季第6節までのホームゲーム全46試合中45試合での上乗せが判明。合計21万1285人が入場したが、発表された入場者は合計23万5518人で、2万4233人=約11・5%を上乗せしていた。公式記録は全試合で訂正される。

 昨年末にクラブ経営不安などを含めた内部申告が届いたJリーグは、クラブ側に調査を依頼。その後は進展がなく、今年1月末からJリーグの弁護士も介入し、疑問点が見つかった。長崎は経営悪化によって役員が相次いで辞任。筆頭株主の通信販売大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)がクラブを子会社にすることで経営再建を進めている。同社創業者の高田明氏が社長就任後の4月末から、観客数の詳細を調査し、先月末までにJリーグに報告された。

 過去には10年にJ1大宮アルディージャが約3季にわたって入場者数約11万人を水増ししていたことが発覚し、2000万円の制裁金を科されている。今回の制裁金額に関し、Jリーグ鈴木経営本部長は「大宮は外部からの指摘や報道が先行。組織的不正だったが、長崎は分かった時点ですぐに是正して、最終的には自主的な申告だった。実数が5分の1だったということも1つ」と説明。入場者数をカウントする当時の担当者が、運営関連スタッフや無料観客などを上乗せしていたという認識不足もあり、組織ぐるみでの悪質性はなかったと結論づけた。だが「担当者レベルでは『上からのプレッシャーもあった』という証言もあった」と矛盾点も残った。

 村井チェアマンは「入場者数を正確にカウントするのは、1人1人のお客様への感謝の気持ち。不正確な数字が計上されたことは残念。早い健全化を願っています」と話した。

 ◆大宮の入場者数水増し問題 10年10月に一部報道により発覚。10月2日の大宮-浦和戦(埼玉)で入場者数を3万3660人と発表したが、入場ゲートを通過したのは2万9203人で、あまりの誤差の大きさにJリーグが渡辺社長(当時)を聴取。大宮は調査の結果、07年11月から主催試合58試合で合計11万1737人の水増しがあったと発表した。制裁金は2000万円。渡辺社長が辞任し、クラブ幹部2人が解任された。