柏レイソルDF中谷進之介(21)が、初対面から9年越しで憧れのポルディを封じ込めた。

 試合開始30秒。ヴィッセル神戸FWポドルスキを、最初の競り合いで激しくはじき飛ばした。前半5分に失点したものの、中谷の素早い寄せに、元ドイツ代表は前を向けない時間が続いた。前半31分、空中での競り合いで、手を使って止めたとして中谷は警告を受けた。熱くなったポドルスキに詰め寄られたが涼しい顔でかわした。終わってみればゴール枠を大きく外れるシュート2本に抑え、チームを4戦ぶり勝利に導いた。

 一瞬の隙を突いて得点した、前節大宮戦の先制点の映像を確認し「プレッシャーをかけて寄せて、前を向かせないようにした」と、密着マークで身動きを取らせなかった。詰め寄られた場面は「引き下がってしまったら相手の思い通り。あそこは負けないようにした」と熱くならず、逆に相手から冷静さを失わせた。

 実は09年8月、中学2年の中谷は、所属していた柏ジュニアユースのドイツ遠征で、当時ケルン所属のポドルスキからサインをもらっていた。非公開練習後、ケルンの旗に書いてもらったサインは、今も実家にあるという。それでも「今日は敵同士だから」と笑う。将来の日本代表入りが期待される逸材の胸に残ったのは、世界屈指のストライカーを止めた自信だった。