柏レイソルはシュート20本の猛攻を仕掛けながら、最後までゴールネットを揺らすことができなかった。

 最大の決定機は後半35分。FW伊東純也(24)が、自陣でのクリアからつながったボールを、センターサークル付近で相手DFと競り合う。体を入れながらキープし、これを振り切ると、俊足を生かして相手ゴールへ猛然とドリブル。「ちょっとでも引っかかるのが怖かったので大げさに抜いた」と、トップスピードのまま敵陣に1人残ったサガン鳥栖GK権田もかわした。

 あとは無人のゴールに流し込むだけだったが、すでに50メートルほど全力疾走した後だっただけに疲労もピークだった。「足がついてこなくて球が浮いてしまった」と、軸足は踏ん張りきれず、振り抜いた右足も定まらずに、シュートは大きくゴール上を通過。会場から一斉にため息がもれた。

 ただ、このシーン以外にもシュートは19本も放ち、鳥栖の6本を大きく上回った。CK14本も鳥栖の4本を圧倒。下平隆宏監督は「上位を狙う意味でも痛い引き分けだった。(勝ちきれなかったのは)本当にフィニッシュのところだと思う」と、決定力不足を課題に挙げた。

 同じく0-0で引き分けた、6月17日の甲府戦以来の無得点と同時に6戦ぶりの完封でもあったが、DF中谷進之介は「勝たないと意味がない。勝ちきることができた試合だった」と、唇をかんだ。後半ロスタイムにはFWディエゴ・オリヴェイラ、MFキム・ボギョンが2枚目の警告を受け、相次いで退場した。

 中3日で迎える13日の次節清水エスパルス戦は、決定力不足という課題に加え、攻撃の要の2選手を出場停止で欠くことになる。それでも主将のMF大谷秀和は「チームとしては痛いけど、連戦の中でフレッシュな選手が出ることになるのでポジティブに考えたい。出場機会を待っていたモチベーションの高い選手は多いので心配していない」と前を向いた。