ガンバ大阪が、今季限りで退任する長谷川健太監督(51)に白星を送ることができなかった。前半18分、後半10分と2失点。W杯アジア最終予選で大活躍したMF井手口陽介(21)ら日本代表組3人もフル出場したが、1-2でヴィッセル神戸に敗れた。

 大ブーイングが吹田Sの屋根に反響して、ピッチに降り注いだ。長谷川監督の今季限りの退任が7日に発表されてから初めての試合。白星を求める気持ちが高まる一戦で、選手の体はついていかなかった。前半18分、後半10分と失点。指揮官も「今日はいつもより体が重そうだった。気持ちの部分で『勝つ』というところは相手に引けを取っていた」と無念そうだった。

 代表組3人が形成する守備でほころびが出た。W杯アジア最終予選の2試合フル出場から戻ったばかりの井手口、GK東口とDF三浦も90分間戦い切った。だが井手口は「個人として守から攻の切り替えでうまくできなかった。(疲れは)言い訳にしたくないし全力でやったけど、表現しきれなかった。全部ダメだった」とうなだれた。長谷川監督も「(代表組は)メディカルと相談して先発に切った。その中でよく戦ってくれた。使った私にも責任がある」と言った。

 順位は7位で変わらないが、残り9試合で首位鹿島と勝ち点16差に開いた。優勝はさらに遠のいたが、戦う姿勢は失わない。就任5年で4つのタイトルをもたらした指揮官に花道を、と思う気持ちはみんな同じ。三浦は「よりいっそう、という気持ちはある。今日みたいな試合をしてはいけない」。MF倉田も退任発表による影響を「ないって言いたいけど、ありますね」としながら「監督に感謝しているし、いい意味でパワーが出てくる」と気持ちを奮い立たせる。

 試合前にはサポーターから大きな拍手があり、試合後はチームバスに向けて「健太さ~ん!」と声援が飛んだ。功労者のためにも、もう1つも負けられない。【小杉舞】