町田ゼルビアがレノファ山口FCに負け、ホーム最終戦を飾ることが出来なかった。

 これでホームでは、7月16日の水戸ホーリーホック戦以降4分け5敗、4カ月も勝てないまま今季を終えることになった。

 その中、試合後のセレモニーで、町田の下川浩之社長が「まず最初に、山口のサポーターの皆さん、遠くからありがとうございました。そして、私たちのホーム最終戦で勝っていただきまして、ありがとうございます」と発言したことをきっかけに、町田サポーターが激怒。ゴール裏からは大ブーイングが飛び、太鼓がガンガン打ち鳴らされた。

 この日、山口は町田に勝ち、降格圏を脱出して19日の最終節を前に20位に浮上した。下川社長は、15年にJ3をともに戦い、翌16年にそろってJ2に昇格した山口に、ひとかたならぬ思いがあると強調。ブーイングの中「私は、山口のサポーターは一緒にJ2を上がり、一緒に歩んでいると信じています。我々はJ2から降格したつらい時期を経験した。同じ思いになっていただきたくない。ぜひ来年、J2で一緒に戦いましょう」と続けた。

 その上で町田のサポーターに向けて「1試合、1試合…勝ち負けはあります。そこでチームが好きになる、嫌いになる…そうじゃありません。自分たちが誇れるチーム、強いチームになるためには試練がつきものです。私も早くJ1に行きたいです」と呼び掛けた。

 ただ、ホーム未勝利が続く中、応援を続けてきたサポーターの感情は収まらなかった。下川社長と相馬直樹監督(46)、選手がピッチの外周を周り、あいさつして回る中、スタンドの一部のサポーターからは罵声が飛んだ。

 「どういう意味で言ったんだよ!」

 「(発言の)真意を教えてくれよ!」

 「選手は100%勝とうと思ってやったのか!」

 「誰に言ってるんだ!」

 「代表、辞めろ!」

 「俺たちを、何だと思っているんだよ!」

 「いつ、勝てるんだよ!」

 町田は2020年のJ1ライセンス取得という目標を掲げ、前日11日には強化の継続を理由に、相馬監督との契約を1年延長すると発表したばかりだった。拡声器を手にした1人のサポーターが「本当に20年にJ1昇格を目指すんでしょ? すごい悔しいんだよ。来季から夢、つないでいかないよ。俺たちのホーム、こんなんじゃダメだよ! 町田、好きだからやってくれよ!」と叫んだ。すると、サポーターの間から相次いで「町田、愛してるからさ」という声が起こった。

 DF深津康太(33)が、その声を受けて「来年(J1)行こうよ!」とサポーターに呼び掛け、騒ぎは沈静化したが、スタンドをバックに選手、スタッフが記念撮影を行う中、抗議の意味からか帰ったサポーターもいた。

 山口の健闘をたたえるつもりだったであろう下川社長の発言が、町田のサポーターを怒らせ、心に傷を残してしまったことは否定できず、ホーム最終戦が後味の悪いものになってしまった。【村上幸将】