「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の第2回はJ1守備編。セレッソ大阪MF山口蛍(27)が、読みの鋭さと抜群のポジショニングでチームの守備を引き締めた。サッカー分析会社「データスタジアム」によると、インターセプト数はリーグ断トツの30回。日本代表の主力ボランチがJリーグで輝きを放った。

 

 今季の山口は、リーグ最多のインターセプトを記録した。相手のパスコースを読み、能動的にカットしたプレーは30回を数えた。3人が記録した2位の18回を大きく引き離した。相手の攻撃を寸断し、チームの3位躍進の原動力になった。

 ここでいうインターセプトとは、パスカット後も自らボールをコントロールしたケースに限られる。相手のパスを足に当てただけではカウントされない。守備から攻撃へと切り替わる起点にもなっていたことが明らかになる。

 相手の動きを予測した上で先手を打った。持ち味であるデュエル(球際の攻防)でも強さを発揮したが、ファウル数は19回にとどまった。ディフェンシブサード(自陣守備側エリア)では2回だけ。インターセプト数で5傑入りした選手と比較するとその少なさが際立った。後手に回ることはほとんどなかった。

 右ボランチの位置から前後左右に幅広く動き、相手のパスコースを限定した。その動きによって、後方の味方もボールの奪いどころを絞り込むことができた。ダブルボランチを組んだMFソウザはタックル成功数で1位となり、チームのタックル成功率もリーグで唯一80%を超えた。チームのインターセプト数もリーグ最多。山口の読みの鋭さとポジショニングの良さが、チームの守備の機能性をより高めた。

 今年は日本代表でも存在感が光った。8試合の出場で8度のインターセプトは最多。来年6月に開幕するW杯ロシア大会でも、日本の蛍は輝きを放つに違いない。【石川秀和】