J1に昇格した名古屋グランパスから、J2のFC町田ゼルビアに期限付き移籍したMF杉森考起(20)が13日、ホームの東京・町田市陸上競技場で開かれた新加入選手会見で、下部組織から一筋だった名古屋を出て、初めて移籍した思いを語った。

 杉森は、14年ブラジルワールドカップの際に日本代表のトレーニングパートナーに選出された逸材で、17年も名古屋でJ2リーグ戦26試合に出場した。ただ序盤は先発起用が多かったものの、終盤戦は途中出場、ベンチ外など出場機会を失った。「名古屋でも、最後の方は試合に絡めていなかった。もっと試合に出たい。今まで、ずっとグランパスにいましたし、風間さん(八宏監督)にもチャンスをもらっていたので悩みましたけど、もっと試合に出た方が成長できると思った」と語った。

 名古屋がJ1に昇格し、J1への挑戦に魅力も感じたが「J1にチャレンジ出来ることよりも、やはり今は試合に出ることかなと思って」と口にした。見据える先には20年東京オリンピックがある。杉森は「やっぱり、それがあるのは大きいし、試合に出て活躍しないと選ばれないと思うので」と、東京オリンピックへの思いを吐露した。

 J1に行けば、関係者の目に留まる機会は増える。それでも「オリンピックだけじゃなく、自分は試合に出ることが、サッカーをやっていて1番楽しい。それがあって、東京オリンピックもあって、移籍しました」と今回の決断に揺るぎはない。

 杉森をはじめ10選手を迎えた下川浩之社長は、J1昇格プレーオフ圏内の6位以内を今季の目標に掲げた。その目標の先には、悲願のJ1ライセンス取得がある。「チームとしては、20年にJ1ライセンス取得(を目標)としてやっている。去年は16位…勝ちきれない。17引き分けに終わった。大きな目標と目の前に目指すものを考えて、6位以内にした」。

 町田が目標に掲げる、20年のJ1ライセンス取得だが、現状は

 (1)J1のホームスタジアムは1万5000人以上の収容人数が必要だが、ホームの町田市陸上競技場の収容人数は1万328人

 (2)年間を通じて常時使用できる天然芝、もしくは人工芝のピッチ1面、屋内トレーニング施設がない

 (3)クラブハウスがない

など必要な規定を満たしていない。

 ただ、町田市は5カ年計画の中で、町田市陸上競技場のある「野津田公園スポーツの森」整備について触れ、同スタジアムを20年度にJ1基準のスタジアムにすることも基本方針となっている。また選手の間からは、練習を行う町田市の小野路グラウンドが固い人工芝のため、天然芝のグラウンドを求める声が出ているが、候補地を複数に絞って調整を進めるなど、J1ライセンス取得に向けての動きは着実に進んでいる。

 18年は、J1ライセンスの取得に向けて、クラブとして結果を求めていきたいシーズンだけに、杉森ら新戦力の活躍は欠かせない。杉森は「僕は攻撃…結果でゼルビアに貢献できたらと思っていきます」と固く誓った。【村上幸将】