サバイバルを勝ち抜き、正守護神に座るのは、俺だ。J2京都サンガFCから期限付き移籍で加入した北海道コンサドーレ札幌GK菅野孝憲(33)が22日、実戦でのアピールへ闘志を燃やした。今日23日、合宿地の沖縄・金武町でJ2ジェフユナイテッド千葉、全北現代(韓国)との練習試合(ともに90分)が行われる。「毎日がオーディション」と、本番さながらの位置づけで、ゴールを守り抜く。

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 今季2度目の実戦を翌日に控えた午後練習。最後までグラウンドに残り、練習していたのは菅野だった。クールダウンのランニングでも先陣を切って走る姿があった。新加入でも遠慮はしない。練習中は大きな声を張り上げてチームメートに指示を出し、鼓舞する。「監督も言っているけど、毎日がオーディションなので」。すでに頼もしい存在として、チームを引っ張っている。

 03年に横浜FCでスタートさせたプロキャリアは16年目、札幌で4クラブ目となる。昨季リーグ33試合でゴールを守ったGKクが存在感を放つチームに加入する道を選んだ。「劣ってはいない。サブとして来たつもりは、もちろんない」。新加入選手会見の時から繰り返し口にする言葉が、新天地での自信と覚悟の表れだ。

 日本代表に招集されたこともあるベテランにとっても、学びの多い新鮮な毎日を過ごす。ペトロビッチ監督が掲げる攻撃的サッカーを、戦術練習でチームに落とし込む日々。菅野は「やっぱりなかなか変わっている。吸収できるようにしたい」と楽しそうに話す。「(シュートを)止めるだけじゃなくて、ビルドアップでも」と、攻撃の起点として、組み立ての面でも、パフォーマンスを求められている。

 練習試合とはいえ、ゴールは許さない。今季初実戦だった19日長崎戦で、35分×3本の2本目に出場し、無失点だった。「一番いいプレーをした選手がヒーローになる」というのが、実戦に対する心構え。チーム合流前に染めたトレードマークの金髪は、ピッチに映える。持ち味はボールへの反応の良さ。髪色に似た雷のように、シュートに鋭く反応し、インパクトを残す。【保坂果那】