清水エスパルスは、ヤン・ヨンソン新監督(57)の初陣で価値ある勝ち点1を手にした。鹿島アントラーズの攻撃陣を封じて0-0。1万9632人が詰めかけたホームのアイスタで、14位の昨季とは違う守備の安定感を見せた。

 名門復活を期すシーズンの開幕戦で、選手たちはサポーターの温かい拍手に包まれた。昨季2敗を喫した鹿島を完封して勝ち点1。ヨンソン監督は手応えを口にした。

 「選手が見せた内容には、非常に満足している。鹿島は強かったし、上位予想をしている人が多い相手に、堅い守備とやろうとしている攻撃ができた」

 90分間、テクニカルエリアに立ち続けた。手をたたいて選手を鼓舞し、「グッド!」と声を掛けた。前半44分、FWクリスラン(25)に警告が出された際には両手を広げ、顔を赤くしながら主審に声を荒らげた。その姿を選手は歓迎し、MF金子翔太(22)は「すごくやりやすかった。試合中もよく褒めてくれて、コーチやベンチメンバーも含めて盛り上げてくれた」と振り返った。

 上位を目指すチームの基盤を見せた。監督就任後、最初に着手した守備の再構築が形になった。全体をコンパクトに保ち、中盤からプレスをかけて組織的に守りきった。右サイドバックには、リーグ戦初出場で本職はセンターバックのDF立田悠悟(19)を抜てきした。期待通り、強い空中戦と粘り強い守備で貢献。指揮官に「4、5年Jリーグでプレーしているかのように落ち着いていた」と言わしめた。

 前半、クリスランがPKを止められるなど得点を奪えなかったが、試合を通して多くのチャンスを作り、シュート数9本は鹿島を2本上回った。主将のMF竹内涼(26)は「攻守で練習でやってきたことを出せた。『エスパルスがどうなっていくか』というのを少し示せたと思う」。希望に満ちた「新生エスパルス」の幕が上がった。【保坂恭子】