ジェフユナイテッド千葉が、度重なるアクシデントの末、水戸ホーリーホックとのホーム開幕戦で0-0ドローに終わった。

 最初のアクシデントは、試合前に発生した。審判はこの日、緑色のユニホームを着用していたが、千葉のファーストユニホームの黄色と色が似通って見えた。千葉のファン・エスナイデル監督(44)と、17年まで千葉でコーチを務めていた水戸の長谷部茂利監督(46)は、「見えにくいんじゃないか?」と審判団に申し出た。

 審判団からも、千葉でキャプテンマークを巻くMF町田也真人(28)に「これ、大丈夫?」と問いかけ、町田も「ちょっとマズいかも知れませんね」と返し、自軍の選手に審判のユニホーム交換の可能性を伝えたという。

 その後、両クラブからマッチコミッショナーとJリーグに確認し交換が認められた。替えのユニホームが赤1枚しかなかったため、大坪博和主審のみ着替え、試合開始は7分遅れの午後2時10分にずれ込んだ。後半からは線審も色を合わせようという話になったが、手近に今季のユニホームの色違いがなかったため、緊急措置として17年の審判ユニホームを着用したという。

 関係者によると、審判のユニホームの色は複数あるが、どの試合にどの色を着るかはJリーグの計画した年間日程で決められているという。試合に出場する、両チームのチームカラーも勘案されており、試合前に確認も行われている。この日も審判の緑と千葉の黄色とユニホームの色は違っており、室内では色の違いは判別できたが、外に出て日の光を浴びてみると類似して見えたという。ユニホームを試合の際に替えた事案としては、17年3月12日のJ2第3節FC岐阜対松本山雅戦の後半に、松本とユニホームが似ているからと、岐阜の選手が後半にユニホームを替えたケースがあるが、関係者によると審判のユニホームの交換は異例だという。

 次のアクシデントは、前半のロスタイムが1分と大型ビジョンに表示された次の瞬間、起こった。エスナイデル監督が、審判団に指を折るようなしぐさをして詰め寄り、ペットボトルをピッチにたたきつけて抗議し、退席を命じられた。千葉の関係者によると「ロスタイムが1分というのは短すぎる」というのが抗議の趣旨だったという。その後はマルコス・ギジェルモ・サムソヘッドコーチ(44)が暫定で指揮を執った。

 退席処分となったエスナイデル監督は、フクダ電子アリーナ4階の来賓席の上部、屋根の下にあるテレビの中継カメラの撮影エリア脇から、渋い表情で戦況を見守った。終盤の度重なるチャンスを選手が逃すとピッチに背を向け、試合が終わるか終わらないかの段階で姿を消した。

 試合後、町田は「ユニホームの色は実際、似ていましたね。(ユニホーム交換による試合の遅延は)全然、みんな動揺していなかった。早くやりたい、やってやるぞという気持ちが、みんなから伝わってきた」と影響がなかったことを強調した。

 エスナイデル監督の退席についても「影響は特にない。監督がああいうふうになって、より選手たちのやること、責任感ははっきりしたし、そこで結果を出して監督に報告をしたかった」と重ねて口にした。そして「クロスの精度と最後のシュートの質が(足りない)勝ち点3を取りにいったので痛い」と自分たちの決定力不足を悔いた。【村上幸将】