川崎フロンターレのGK新井章太(29)が、2日の浦和戦で急きょGKを務めたDF奈良竜樹(24)に負けない活躍で本職の意地を見せる。

 チームは3日、神奈川・川崎市内で5日のホーム・東京戦に向け調整を行った。GKチョン・ソンリョンが浦和戦でレッドカードによる退場で出場停止になり、新井が東京戦でゴールを守ることが濃厚。新井は「この連戦、出番が来るかもと思いながら毎日、やっていた。最後の最後に出番が来るというのはうれしいこと。浦和に負けているから、引き締めてやりたい。自分は既に引き締まってるし。やるしかないという気持ちです」と意欲を見せた。

 浦和戦は、新井がウオーミングアップから戻ってきた直後、チョン・ソンリョンが退場。既に3枚の交代枠を使い切った後で、すぐに自身のユニホームとグローブを脱ぎ、ピッチの奈良に送るためにスタッフに渡した。だが、奈良が着ていたユニホームはなぜかGK安藤駿介の背番号で、新井は「グローブは自分のだったけど…。自分が間違えて安藤のユニホームを着ていたのかと思った」。もどかしい思いを抱えながら、ベンチから戦況を見守った。

 奈良は浦和DFマウリシオのFKをキャッチし、浦和MF長沢との1対1も体を詰めてセーブし大奮闘。味方の攻撃の際は、高い位置を取り続けた。

 新井は「(奈良が)メチャクチャうまかった。あの1対1止められるの、なかなかないですよ。うますぎる。あれは、本職のGKでも体に当てるの難しい。DFならではの余裕があった」と奈良をたたえ、ポジショニングも「新しいものを見て刺激をもらった」と話した。この日の練習前、チームメートから「次の試合、お前じゃないよ。奈良の方が上にいったらしいよ」と突っ込まれたと明かし「自分も頑張らないと」と本職のプライドを口にした。

 ちなみに、新井は東京V在籍時の11年、東京V-東京の試合で、交代枠を使い切った後で正GKの土肥洋一がロスタイムに負傷退場し、FW平本一樹が臨時GKを務めた試合をクラブで経験している。「平本さんから、試合の翌日に、オレ、お前よりGKで試合に出てるから、と言われたのを思い出しました」と懐かしそうに振り返った。

 次節の東京戦は守護神としてピッチに立つ。東京は堅守速攻でFWディエゴ・オリヴェイラの決定力が脅威だ。新井は「連戦で疲労のある選手もいる。フレッシュな選手がもう、気持ちで盛り上げるしかない。自分はかなりフレッシュですから」と力を込め、今季2試合目のリーグ戦へ向け「勝ちたい。何としても」と闘志を燃やした。