前代未聞の「PK戦やり直し」は、1度は敗れた名古屋グランパスがJ1の意地で奈良クラブ(JFL、奈良代表)に勝利し、7月11日のサンフレッチェ広島との3回戦に進んだ。
6日に行われた試合では1-1で延長でも決着がつかず、奈良クラブがPK戦5-4で勝利していた。しかしPK戦のルール適用に関する誤りを指摘された日本協会が、過去に例のないPK戦のやり直しを決定し、この日に実施された。
ルールは6日の試合で延長終了時にピッチにいたメンバーを基準に、ケガ人などの影響で入れ替えを認め、キッカーの順番も一からやり直しとした。無料開放とはいえメインスタンドには2214人。6日の観客数2455人と遜色なかった。
名古屋 奈良クラブ
シャビエル○ 曽我部○
小林 × 向 ×
佐藤 ○ 布施 ○
和泉 ○ 金久保○
内田 ○ 藤井 ○
宮原 ○ 佐藤 ○
長谷川 ○ 前田 ○
八反田 ○ 山田 ×
勝利を決めた瞬間も名古屋の選手に笑顔はなし。FW佐藤寿人(36)は「やっぱり難しい。勝って素直に喜べるかといえば、そうではない。1回、奈良が勝って成立した試合。逆の立場なら到底受け入れられるものじゃないけど、受け入れてくれた奈良に感謝したい。その思いも背負って、ここから戦っていけないといけない」。名古屋の8人目で最後に決めたMF八反田康平(28)も「次に進めるチャンスをもらった」と話した。
6日の試合でPKを蹴る際の動きが不正のフェイントととられ、今回のきっかけとなった奈良クラブのMF金久保彩(29)は4人目で見事に成功。「自分のキックがいろいろな方に迷惑をかけた。ここまでいろんな葛藤もあったけど、回りに助けられた」と感謝し「負けたけど、胸張って帰りたいです」。大金星は幻となったが、今後への警鐘も含めて足跡を残した。