ワールドカップ(W杯)ロシア大会でセットプレーの大切さを学んだ浦和レッズDF陣が、再開戦でその成果を披露した。日本代表DF遠藤航(25)が前半40分、後半33分といずれもCKからヘッドを決め、日本代表DF槙野智章(31)もチーム2点目をCKからのヘッドで奪い、名古屋グランパスを3-1で下した。いずれも目の覚めるような3発は、CKを蹴ったMF柏木陽介(30)の左足から生まれた。

 左CKを蹴るMF柏木と、エリア内で待つDF遠藤の狙いは食い違い、それが得点につながった。前半40分、柏木の放った弾道はエリア中央へ。その瞬間、遠藤は軌道を見て入るコースを変えた。「ニアに行こうと思ったんですが、蹴った瞬間に柏木さんの狙いが分かって。それでタイミングを外すことでマークをずらしました。いわば、柏木さんのボールに僕が合わせた感じでした」。

 槙野が2点目を左CKから決めてリードを奪うと、3点目は再び遠藤。今度は2人の感覚がピッタリ重なる。「今度はニアに入ろうと。柏木さんのボールの筋も思った通りでした。今度は僕が主導で、柏木さんが合わせてくれました」。1点目がGKを真っ正面から射抜く直球なら、3点目はコントロールした変化球でゴール枠内に収めるイメージだった。

 遠藤の1試合2得点はJ1では初、そして柏木のJ1での1試合3アシストも初。2人ともJ1初の記録で、大切な再開初戦を快勝に導きながら、その表情は対照的だった。遠藤は冷静にプレーを振り返り、W杯で出場できなかった悔しさを、この試合にぶつけた。

 一方の柏木は、むしろ深く考え込むような表情と、ぶっきらぼうな口調。「流れの中で得点できない。物足りない。流れの中で得点すること、それがサッカーだから」。練習通りのセットプレーを再現しての得点ではない。瞬間の判断と技術で合わせられたことが、この日の勝利に直結した。【井上真】