ヴィッセル神戸でMFイニエスタがJリーグに初見参した22日、サガン鳥栖に新加入した元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(34)も、J1デビューした。後半5分、1トップで出場。初得点はなかったが、CKからのヘッドや左サイド突破からの弾丸シュートも放ち、存在感を発揮した。チームは0-1で惜敗したが、イニエスタとともに、10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で母国を初優勝に導いた技を披露した。

 トーレスが世界クラスのプレーで魅せた。0-0の後半5分、FW田川に代わり出場。ボールを持つたび、大歓声が起こった。試合には敗れたが「サポーターは試合中、試合後もチームを応援してくれた。すばらしいサポーターのために努力して次、勝ちたい」と気持ちを切り替えた。

 後半32分、初アシストかと思わせる前線への絶妙パス、DF吉田がGKに阻まれ、ゴールはならなかったが、観衆を沸かせるには十分なプレーだった。

 CKから打点の高いヘッドや、左サイドを切り裂くシュートなどキレがあった。フィッカデンティ監督は当初「最後の公式戦から(間隔が)長く、試合勘に欠けてるかな」と思ったという。だが「素晴らしい経験があり、それを垣間見ることができた。謙虚でポジティブ。チームにいい影響を与えている」と称賛した。

 試合前日には、チームの非公開練習へ参加後、自身のツイッターにユニホームを手にした写真とともに「明日、新しいシャツを初めて着るのを楽しみにしています」と投稿。ファンも、トーレス自身も心待ちにしていたJデビューだった。【菊川光一】

 ◆フェルナンドトーレス 1984年3月20日、スペイン生まれ。アトレチコ・マドリードの下部組織で育ち、01年にプロデビュー。リバプール、チェルシー(ともにイングランド)ACミラン(イタリア)でもプレーした。スペイン代表としては、W杯に3大会出場し、10年南アフリカ大会で優勝を経験。代表通算110試合38得点。186センチ、78キロ。