ガンバ大阪は23日、就任1年目のレビークルピ監督(65=ブラジル)を解任し、トップチームコーチ兼U-23監督の元日本代表DF、宮本恒靖氏(41)の新監督就任を発表した。ワールドカップ(W杯)中断明けも2連敗を喫するなど16位に低迷。2度目のJ2降格を回避するため、将来のスター監督候補をこの難局に投入する苦渋の決断となった。G大阪でJ1初優勝に貢献し、2度のW杯に出場した同氏は、明日25日の練習から指揮を執り、28日のホーム鹿島アントラーズ戦が初陣となる。

 2度目のJ2降格を避けるため、G大阪が「切り札」にすがることになった。この日午前にレビークルピ監督に解任を通告し、後任に宮本氏の内部昇格を決めた。山内隆司社長(61)は「チーム愛で受けてくれた。もう1回、強いガンバを作ってもらいたい」と説明。マテル・ヘッドコーチも解任し、実好礼忠ユース監督(45)がU-23監督に昇格し、宮本体制を補佐することも決まった。

 苦渋の決断だった。ユースから現役の大半をG大阪で過ごし、日本代表でも主将も務めた宮本氏は「ツネ様」の愛称で抜群の人気を誇った。昨年末に監督抜てきの可能性もあったが、将来のスター監督候補として失敗は許されないことで就任は見送られた。レビークルピ監督の2年契約が終わる20年から宮本監督誕生が青写真だった。その計画を白紙にするほど、G大阪は追い込まれていた。

 2年連続無冠から、今季はスローガンに「奪還」を掲げたが、J1は折り返しの17試合を終えて4勝3分け10敗の16位。山内社長も「『(宮本体制は)いずれは』だったが、厳しい状況で覚悟してもらわないといけない。土俵際はお互い理解している」。この日までに長時間議論を重ねての受諾だったと明かした。

 W杯中断期間中、セレッソ大阪FW柿谷の獲得を目前にしながら失敗。この数年にわたる補強の失敗は、クラブの責任も大きい。クラブもそれを分かった上でまずはJ1残留に懸ける。山内社長は今後の補強に「リクエストに最大限応えて一緒に戦う」と明言。迷えるG大阪が「ツネ様」の手腕にゆだねられた。【実藤健一】