ヴィッセル神戸MFアンドレス・イニエスタ(34)の「子ども愛」は、はんぱない。その愛情は自身の3人の子供はもちろん、多くの広がりがある。

 来日直後、本拠ノエスタで神戸のファンへ初めてお披露目されたイベント。神戸の下部組織の選手約100人が参加した。世界中の誰もが憧れる英雄。クラブ関係者は当初、イニエスタの負担を考慮してハイタッチ程度を助言していたが、イニエスタは全員と握手し、さらに激励の声をかけ続けた。その姿勢に子どもたちはもちろん、クラブ関係者もとりこになったという。

 Jリーグへの挑戦を決めた理由の1つに、三木谷会長の「若い世代を育てる」プランもあった。実際にユース世代の指導に「自分が行かせてほしい」と直訴したほど。世界一を経験したがゆえに「育てる」使命感もある。イニエスタが日本で爪痕を残すのは、Jリーグのピッチ上に限らない。【実藤健一】

 ◆アンドレス・イニエスタ 1984年5月11日、スペイン・アルバセテ生まれ。12歳からバルセロナの下部組織に入り、02年プロデビュー。昨季はリーグ優勝とスペイン国王杯4連覇など通算32個のタイトルを獲得。ワールドカップは06年から4大会連続出場。10年南アフリカ大会のオランダとの決勝で初優勝に導く延長での決勝点を挙げた。今夏のロシア大会は決勝トーナメント1回戦で敗退。08、12年欧州選手権優勝。国際Aマッチ通算128試合13得点。171センチ、68キロ。